巨人時代の片岡治大

 FAで大きな戦力ダウンを余儀なくされながら、西武は低迷期が短い。2018、19年に「山賊打線」と形容された強力打線でリーグ連覇を飾って以降は、強打者たちの他球団流出が相次いだが、強力な投手陣で戦うチーム作りにシフト。先発陣を見ると、高橋光成、平良海馬、今井達也、隅田知一郎、松本航、武内夏暉、與座海斗と能力の高い選手がズラリ。さらに、渡邉勇太朗のほか、将来のエース候補としてファームに羽田慎之介、黒田将矢が控えている。20年から3年連続で優勝から遠ざかっているが、20、22年は共に3位とCSに進出している。今季は新外国人で4番として期待されるヘスス・アギラーの評価が高い。課題の得点力不足を解消すれば、優勝争いに割って入る力はある。

歯がゆい思い

「以前の西武はフロントと選手のコミュニケーションで行き違いがあったケースが目立ちましたが、渡辺久信GMが編成のトップになって以降は、FA権を保有していた源田壮亮、外崎修汰と大型契約を結ぶなど選手と密にコミュニケーションを取っている。球団の寮、室内練習場、トレーニングルームも19年にリニューアルし、12球団屈指の充実した環境になっています。西武にFA移籍したいと考える選手が出てきても不思議ではありません」(テレビ関係者)

 ただ、ファン心理としては応援していた選手が他球団にFA移籍する現実をなかなか受け止められない。岸、浅村、森が対戦相手の主力として立ちはだかった時に、大きなブーイングが起こっている。だが、山川の場合はケースが違う。昨年に女性問題の不祥事が発覚し、試合に出場できない状況に。東京地検は9月に嫌疑不十分で不起訴処分としたが、球団は公式戦無期限出場停止処分を科したことを発表した。シーズン17試合出場にとどまり、打率.254、0本塁打、5打点。5位に低迷したチームは貧打で泣く試合が多かっただけに、「山川が4番で稼働していれば……」と歯がゆい思いをしたファンは多かっただろう。

次のページ
チームの一員になれた