4月に入ると、東から南の空には雄大な春の星座が昇っています。空の高い所には「しし座」、続くように南東の空に全天で2番目に大きい「おとめ座」が広がり、北の空では、北斗七星を含む星座の「おおぐま座」が輝いています。春の星空で繰り広げられるのは、細い月と木星、すばるの共演。大接近となる火星と土星も見逃せません。「ポン・ブルックス彗星」は、西北西から西の低空で明るさが増すと期待されています。
今回は、4月に注目したい星空情報をご紹介します。
【4月10~11日】夕方から宵、細い月が木星とすばるに相次いで接近
日没後の西の低空には、マイナス2等の明るさで輝く木星の姿があります。4月10日、木星のやや下の方に見えるのは、新月の翌日にあたる月齢2の月。木星を目印にして、非常に細く幻想的な月齢2の月を探してみましょう。
この日は、地球に接近中の「ポン・ブルックス彗星」が月の近くを通過します。できれば双眼鏡を用意して、木星と月、彗星のまたとない共演を観測したいですね。
翌日の11日には、三日月がすばる(プレアデス星団)に接近します。満月前後の明るい月が近付くと、すばるの姿がかき消されて見えなくなってしまいますが、今回は三日月とすばるの両方の輝きを楽しむことができるでしょう。
【4月11日】夜明け前の東の低空で、火星と土星が最接近
4月上旬から中旬にかけて、火星と土星が大接近します。11日の最接近の頃には、ふたつの惑星の間隔は満月の見かけ幅ほどまで接近します。
火星は1.2等、土星は1.1等と、ほぼ同じ明るさですが、赤みを帯びた火星とクリーム色に輝く土星の色の違いに注目してみましょう。肉眼でも観測できる明るさですが、双眼鏡があるとより見やすくなります。
夜明けが近付き、空が明るくなってくると見つけにくくなります。日の出1時間前の薄明が始まったばかりの頃に観測するのがおすすめです。
【4月21日】「ポン・ブルックス彗星」が近日点通過。増光なるか?
1812年にフランスの天文学者ジャン=ルイ・ポンが発見、1883年にアメリカの天文学者ウィリアム・ブルックスが再発見し、同一の天体であると確認された「ポン・ブルックス彗星」。今回は、約70年振りの帰還となります。
4月には4~5等前後の明るさになると予測され、天文ファンの注目を集めています。20日頃までは夕方の西北西から西の低空に見ることができ、21日に太陽に最も近付く近日点を通過します。彗星は太陽に接近してガスや塵の放出が多くなると、より明るさが増して、尾も長くなります。「ポン・ブルックス彗星」の明るさや姿がどのように変化するか、最新の情報をチェックしておきたいですね。
彗星は、10日に月齢2の細い月に近付き、14日前後には木星と天王星に接近します。日の入り1時間後の高度は10度前後と低空での現象になるため、視界の開けた場所から観察を楽しみましょう。
・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2024』 アストロアーツ
・参考サイト
国立天文台「ほしぞら情報2024年4月」
アストロアーツ「2024年4月 ポン・ブルックス彗星が4等前後」