広木隆(ひろき・たかし)/マネックス証券チーフ・ストラテジスト。運用機関などを経て2010年から現職。テレビ出演も多数(写真:本人提供)

 約34年ぶりに史上最高値を更新した日経平均株価。今後、上がるのか、下がるのか。マネックス証券チーフ・ストラテジスト・広木隆氏に聞いた。AERA 2024年3月25日号より。

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 昨年末の時点で「来年末の日経平均は4万2千円」と予想していた広木隆さんだが、さらに上方修正して4万4千円到達を見込んでいる。

 ただ、年初からの上昇は一服し、目先は一進一退の展開になるという。

「4万円の大台に乗せたことで目標達成感が台頭しているし、PERも近年のレンジの上限に達しています。しかしながら、買い遅れている投資家が多いことから、押し目買いの意欲も旺盛です」

 押し目買いとは、株価が下げた局面を好機と判断して買いを入れること。こうした動きに支えられながら、3万9千~4万円程度の水準でもみ合う状況が続くと広木さんは読む。そして、新たなる局面を迎えるのは、4月下旬から始まる3月期末企業の本決算発表シーズンだという。

「企業側の翌期予想が保守的(慎重)なのは周知のことで、ネガティブな反応はないでしょう。それを鵜呑みにせず、翌年度の業績拡大に期待して4万1千~4万2千円のレンジに切り上がる展開を想定しています」

 その後、夏場から秋にかけては米国大統領選の行方を不安視し、いったん下落に向かうと広木さんは推察。だが、結果が見えてくる大統領選の前後から反発に転じるという。

「その頃には米国の利下げ姿勢が明確になり、それに伴う世界景気の回復シナリオが見えてくるからです。世界景気に敏感な日本株が再び買われる展開が鮮明になり、年末に4万3千~4万4千円の水準に達するでしょう」

 広木さんいわく、今の日本株は様々な切り口から物色されやすい。日銀の政策変更(金利上昇)で恩恵を受ける銀行がその一例。他にも賃上げや値上げ力など、数多くの切り口が見つかるという。

(金融ジャーナリスト・大西洋平)

AERA 2024年3月25日号

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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