クリスマス三種の神器
有名レストランではクリスマスの2日間だけ、いつもより高額の特別メニューを提供するのが普通。「クリスマス特集」号が発売されると同時に予約の電話が殺到して、あっという間に満席になるのがお約束だった。
そんなクリスマスメニューと、プラチナチケットだったイブのホテルの予約、そしてプレゼントとしてのティファニーのオープンハートのブルーの箱がクリスマス攻略の三種の神器と言われていたこともある。
ドン小西さんの大きな買い物は、今も住んでいる港区白金のマンションだ。90年頃、新築時の販売価格は約7億円だった。
「マンションの値段? 7億円が一時1億円台まで下落。いまようやく4億円あたりまで来たところだよ。昨年あたりから、チラシに書かれた値段も毎月1千万円くらいずつ値上がりして、バブル崩壊したときの逆のパターンになってるよね」(小西さん)
バブル崩壊前夜、マンション価格が下がり始めてビビる小西さんを銀行の担当者はこう説得したという。「心配性ですか? 株価なんてのこぎりの歯のように上下しながら上がっていくものなのに」。ところがのこぎりの歯は下を向いたまま、今日まで上昇することはなかった。
「でもほら、おれらは上がったものは下がるってことを、バブルの経験でわかってるだろ。ご近所さんでももう頂点だと思って、何も言わずに夜逃げのように引っ越してしまう人もぼちぼち出てきたよね」
そんな苦しい思い出ばかりのバブル期。もう一度やっていいと言われたら?
「そりゃ、やるだろう! 今度こそ、何事も用意周到に取り組んで大もうけするんだもんね」
結局、やるのね。(ライター・福光恵)
※AERA 2024年3月25日号より抜粋