20年(令和2年)4月、愛子さまは希望された学習院大学文学部日本語日本文学科に進まれた。“コロナ禍入学”となり、愛子さまのキャンパスライフに関し、愛子さまと同じ文学部出身の先輩として天皇陛下はこう語っている。
「私自身の大学生活を振り返ってみますと,気が付けばもう40年くらいも前になりますが,大学では様々な人たちと顔を合わせて授業を受けたり,放課後の部活動で一緒に参加したり,見ず知らずの人と学生食堂で隣り合ったり,新しい発見と経験の連続であったように思います。
そういう意味でも,愛子には,感染症が落ち着いて,いつの日かキャンパスに足を運べるようになると良いなとは思いますが,たとえどのような環境にあっても,実り多い学生生活を送ることができればと願っています」(令和4年天皇陛下お誕生日に際してのコメント)
18年間の学習院ライフの締めくくりである大学生活の大半は、残念ながらオンライン授業になってしまった。『学習院女子と皇室』(新潮新書)の著者で、親子4代に渡り学習院出身の藤澤志穂子氏は「皇族方の通学は大掛かりなもの」と話す。
「愛子さまは、コロナ禍で大学のキャンパスになかなかお出ましになれず、一部にいぶかしがる声もありました。しかし、内親王を始めとする皇族方の通学は、皇宮警察や地元警察など、多くの関係者の支えがなければ成り立たない、ある意味、大掛かりなものです。
自分自身を磨く心
コロナ禍に、ご自分一人のために、多くの方の手を煩わせたくない、とお考えになり、御所でのオンライン授業に取り組まれたではないでしょうか」
藤澤氏は愛子さまの学習院での学生生活についてこう話す。
「学習院女子中・高等科での学びの根底には『自分自身の立場をわきまえ、努力する』ことがあります。そのことは、事実上の校歌で、歴代皇后から下賜された『金剛石・水は器』(昭憲皇太后御歌)、『月の桂』(貞明皇后御歌)にもこの教えとなる言葉があります。愛子さまの学生生活も、まさしくそうだったと私は考えます」
『金剛石』は「金剛石もみか(が)かすは(ずば) 珠のひかりはそはざ(わざ)らむ(ん) 人もまなひ(び)てのちにこそ まことの徳はあらは(わ)るれ」と始まる。「ダイヤモンドも磨かなければ輝きは出てこない、だから人も学んでこそ」と、自分自身を常に磨いていく大切さが歌われている。
愛子さまも学習院で学業のほか、バスケ、スキー、チェロ、国際交流と様々なものに興味や関心を広げ、自分自身を磨かれてきたのだろう。
そして『月の桂』の一節には「家を斉へ(ととのえ)身を修め 心の鏡みがきえて 御国(みくに)の光添へ(え)よかし」とあり、「家庭をきちんとし、心の鏡を磨き、国へ尽くせ」といった教えが込められている。「こちらの御歌が今の愛子さまの心境に近いかもしれない」と 藤澤氏はいい、これからも学習院での学びをもとに、愛子さまのご活躍を願う。
「折しも天皇・皇后両陛下が22日に能登半島地震の被災地をお見舞いされることが公表されました。発生から2カ月半あまり、“ご訪問はまだか”といった声も一部にはあったかもしれません。しかし、今回の地震、現地は道路が寸断され、初期の段階では通行も物資輸送も困難だったと聞きます。
急ぎ被災地の現場に駆け付けることが、かえって混乱を招きかねない。両陛下のご訪問には多くの関係者が携わる、さらに大掛かりなもの。その中で時機や、周囲にかける負担などを慎重に検討を重ねられた上でのご訪問決定だろうと思います。
愛子さまは卒業後、日本赤十字社ご勤務の傍ら、ご公務も本格化されます。両陛下のように、そう遠くない将来に被災地へ行かれ、皆様を励まして頂きたいと願っています」
3月11日、大学卒業が正式に決まった日、愛子さまは「うれしい気持ち」をお持ちだったと、側近が明かしている。いまはただ、卒業おめでとうございますと伝えたい。そして、今後一層、ダイヤモンドのように磨かれていくだろう愛子さまの輝きを楽しみにしている。(AERA dot.編集部・太田裕子)