株価は上がったが、実際の経済はどうなるのか。今後株価は上がるのか、下がるのか。わたしたちの暮らしへの影響は──。ウォール・ストリート・ジャーナル東京支局長・ピーター・ランダースさんに聞いた。AERA 2024年3月25日号より。
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「いま54歳ですが、退職するまで、日経平均株価の高値更新はないと思っていました」
ピーター・ランダースさんはそう話す。
初めて来日したのは、大学を卒業した1990年12月。日経平均株価が最高値(3万8915円)をつけた1年後だった。
その後、日本は「失われた30年」と呼ばれる長期停滞に突入する。株価も低迷が続き、97年11月の山一証券の経営破綻、2008年9月のリーマン・ショックなどを経て、09年3月には、バブル後最安値となる7054円に沈んだ。ランダースさんがウォール・ストリート・ジャーナルの東京支局長になった14年は、株価は1万6千円前後で推移。まさか、バブル期の記録を更新することはないだろうと思っていた。
それがなぜ、バブル期を上回り4万円の大台を突破したのか。ランダースさんが注目するのが「企業の利益」だ。
投資と賃上げ関係密接
「日経平均株価を構成するトヨタや日立など大企業225銘柄の利益を見ると、多くの企業の利益が上がってきています。例えば、トヨタの今年度の純利益は前年度のほぼ2倍の4兆5千億円。他にも、225銘柄の中には10年前と比べ2倍から3倍の利益を出している企業は少なくありません」
収益が好調なのは円安やインフレ、不採算部門の削減の他、社外取締役を増やし株主還元に重点を置いた結果だ、という。
「利益が上がれば株主への配当を増やすことができるので、さらにその企業の株を購入する投資家が増えその企業の株価は上がっていきます。このように、利益と株価は長い目で見れば非常に密接な関係にあり、日経平均株価がバブル期につけた最高値を超えたのは自然の流れだったと思います」