米サウスカロライナ州で3月6日、選挙戦からの撤退を表明するヘイリー元国連大使(写真:ロイター/アフロ)
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 スーパーチューズデーの圧勝を受けて、ドナルド・トランプ前大統領が今年の大統領選で共和党指名候補として、ジョー・バイデン大統領との一騎打ちが確実となった。11月の本選挙に向けて注目すべき動向とは──。AERA 2024年3月18日号より。

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 スーパーチューズデーは、人口が多い西部カリフォルニア州、南部テキサス州を含む15州で行われた。ドナルド・トランプ氏は、予備選挙で争う代議員の獲得数を1040人まで伸ばし、共和党指名候補になるのは確実だ。

 トランプ氏に対し、「ドン・キホーテのような」(米メディア)挑戦を続けていた元国連大使ニッキー・ヘイリー氏はこれまでに、ワシントンDCとバーモント州で勝利を得た。しかし、トランプ氏の圧勝に風穴を開けるには至らず、スーパーチューズデー後に選挙活動の中止に追い込まれた。一方で、共和党中道派の支持が手堅いことを示した。トランプ氏に挑戦し続けたことで、全国的な知名度を得たヘイリー氏は、28年大統領選で有力な共和党候補となる切符を得たことになる。ヘイリー氏に投票した共和党支持者の8割は、「ネバートランプ(トランプは絶対嫌)」とされる(NBCによる)。

注目される動向

 このヘイリー氏支持者が、11月の本選挙でジョー・バイデン氏に投票するのかどうかが注目される。トランプ氏は、実は91の罪状で起訴された「被告」である。直近では、ニューヨーク・マンハッタンの連邦地裁で、2019年にコラムニスト、E・ジーン・キャロル氏を中傷しその名誉を毀損(きそん)したことについて、計8330万ドル(約123億4千万円)の損害賠償を支払うよう、陪審団が評決を下した。キャロル氏はすでに、ニューヨークのデパートでトランプ氏にレイプされたと主張する民事裁判で勝訴し、さらに名誉毀損でも勝訴した形だ。しかし、トランプ氏はこの支払いが不可能と主張し、トランプ支持者が抱いている「お金持ちのかっこいいビジネスマン」という印象もはがれつつある。

 一方で、イスラエルとハマスの戦争が長引くにつれ、急速に反イスラエルに流れる若い人や、移民の激増に不安を募らせるリベラル派市民の動向が、11月の決戦結果を決めそうだ。(ジャーナリスト・津山恵子=ニューヨーク)

AERA 2024年3月18日号より抜粋