漢字本来の意味から外れ読めないこともある、いわゆる「キラキラネーム」の一部に制限がかかる可能性がある。来年から施行される戸籍法の改正に伴うものだが、専門家は、日本では大昔から本来の読み方とは違ったり、ユニークに思える名前を付けたりする文化があったと指摘し、過剰なキラキラネーム批判に対して疑問を投げかける。
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改正戸籍法が来年度にも施行され、これまで戸籍に記載がなかった氏名の読み仮名が、全国民に必須となる。
読み仮名によって個人のデータを検索しやすくするなど、行政のデジタル化を後押しする狙いだが、その読み仮名には「氏名に用いる文字の読み方として一般に認められているもの」という基準が設けられた。
このため、法施行後に生まれた子どもの名前については、いわゆる「キラキラネーム」の一部に制限がかかる可能性が指摘されている。
光宙(ぴかちゅう)、龍飛伊(るふぃ)、今鹿(なうしか)など、キャラクターと同じ名前などで、本来の読み方とは違う漢字を当てはめたり、わざわざ英語の発音で読ませたりする「キラキラネーム」に眉をひそめる人は少なくない。
議論に当たった国の法制審議会の部会が行ったアンケートにも、否定的な声が多く寄せられた。
だが、その一方で、日本にはその漢字の音訓とは違う読み方をさせる「名乗り訓」という慣習があるなど、独特の名付け文化が定着してもいる。
「そもそも、キラキラネームという言葉自体に明確な定義がなく、その名前をどう感じるかは、たいてい人それぞれの直感に過ぎません」
こう話すのは、日本製の漢字である「国字」研究の第一人者で、法制審の部会で委員を務めた早稲田大学教授の笹原宏之さんだ。