歯の大切さは年をとって実感するものです。私が開業したばかりのころに初診でやってきた40代の男性患者さんは、80代になった今も3カ月に1回のメインテナンスに欠かさず来てくれます。健康な歯の多くが残っていますが、彼は来るたびにこう話します。

「若いときは、正直、歯の大切さがまるでわかっていませんでした。メインテナンスも先生に言われるまま、なんとなく通い続けていたのです。今は周りに歯で苦労している友人がたくさんいます。私は孫と一緒にステーキはもちろん、何でも食べることができる。歯を大切にしてきて、本当によかったと思います」

 私はこの患者さんの話を、今、若い患者さんに伝えています。

 歯科医の役割は私が歯医者になったころから大きく変わりました。歯医者はすでに歯の健康だけを守る役割ではなく、歯を通じて全身の健康を守る役割を担う時代に入ってきています。医師も歯について学び、歯科医師もからだについて学ぶ必要があります。だからこそ、医学部と歯学部がもっと密接に関わってほしいとも思います。

 読者の皆さんには、からだのことまで考えてくれる勉強熱心な、かかりつけ歯科医を探してほしい。さらに、お子さんがいらっしゃる人には、子どもを歯周病にさせないために、早い時期から、こうした歯科医のもとで予防に取り組んでほしいと思います。

 長い間、ご愛読いただき、ありがとうございました。

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