ダルマ・プルサダ大学を訪問し、日本語を学んでいる学生と日本語で話す天皇、皇后両陛下=6月20日、ジャカルタ
ダルマ・プルサダ大学を訪問し、日本語を学んでいる学生と日本語で話す天皇、皇后両陛下=6月20日、ジャカルタ

 天皇陛下は2月の誕生日に際しての会見で、能登半島地震の犠牲者への思いを述べられ、被災地訪問の意向を示した。国民に身近な存在として、距離感を意識してきた天皇、皇后両陛下や皇族方。そんな皇室の「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2023年6月25日に掲載された記事の再配信です。肩書や年齢等は当時のもの)。

【写真】インドネシアで「別格の所作」を見せた雅子さまはこちら

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 天皇皇后両陛下は、17日から7日間の日程で、インドネシアを公式訪問した。即位後初めて、おふたりそろっては21年ぶりとなる国際親善訪問で強く印象に残ったのは、おふたりの笑顔と、相手をリラックスさせる飾らない言葉だった。
 

「手が震える」

 皇后雅子さまは、手元を緊張させながらも、楽しげにそうつぶやいた。

 19日、首都ジャカルタ郊外のボゴール宮殿での歓迎行事のあと、雅子さまがインドネシアの伝統的な布地「バティック」のろうけつ染めに挑戦した場面だ。慣れない作業を楽しむ様子が伝わってくる。ろうを布にこぼしてしまっても、

「垂れちゃいました」

 と飾らない言葉で周囲は笑顔に包まれた。

 インドネシア訪問で感じられたのは、雅子さまの柔らかな表情と言葉だ。そして、雅子さまの緊張感が伝わる場面でのそうした妻を見守る天皇陛下の優しげな表情だった。

 両陛下の公務では、笑い声が聞こえてくる。加えて、周囲や会話の相手がリラックスできるよう、あえてくだけた声かけをする場面も多い。
コロナ禍が落ち着き、両陛下が国民の前に出る場面も増えてきた。そうした機会とともに、映像などを通じて、おふたりの声ややりとりを耳にする機会も増えた。

 インドネシア訪問でも、冒頭の雅子さまのように、そうした場面が随所に見られた。

 ユーモア好きの天皇陛下は、昔からダジャレ好き。今回も、ダルマ・プルサダ大学で、日本語を学ぶ学生らと交流した際に、渾身のダジャレを披露した。

 日本のアニメが好きだという学生が、こう口を開いた。

「NARUTO(ナルト)というアニメが好きです」

 すかさす陛下がこう応じた。

「私は徳仁(なるひと)です」

 思いがけないダジャレに、周囲も雅子さまも思わず大笑い。

「いや、特に関係はないんですけど」

 慌ててそう付け足したところに陛下の人柄がにじむ。

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おふたりが交わした視線