最新撮像素子で高速撮影コンパクト

 サイバーショットRXシリーズの新モデルは、ブリッジカメラのRX10IIとコンパクト機のRX100IV。レンズや大きさからしてカメラの性格は異なるが、共通化されている部分も多い。
 ともに撮像素子は、1.0型の積層型CMOSセンサーだ。画素部分と回路部分を別個に作って積層する構造に加え、読み出し部回路を上下半分に分け高速化を図り、さらに大量の出力信号を一時保管するバッファメモリーまで備える。4K動画の撮影記録時間の制限に違いはあるものの、CMOSセンサーながら高速読み出しによるローリングシャッター現象を抑えつつ、最高3万2000分の1秒を実現した電子シャッターや、最大960‌fps(40倍)のスーパースローモーション動画などの機能を持つ。


絞り開放でのレンズ描写を厳しく見れば、150mm相当付近が少し甘めだが、ポートレートなどに生かせそうだ●9mm時(24mm相当)・絞り優先AE(絞りf8・200分の1秒・+0.3補正)・ISO160・AWB・JPEG
絞り開放でのレンズ描写を厳しく見れば、150mm相当付近が少し甘めだが、ポートレートなどに生かせそうだ●9mm時(24mm相当)・絞り優先AE(絞りf8・200分の1秒・+0.3補正)・ISO160・AWB・JPEG
望遠側での近接撮影だがフルサイズ機のように被写界深度が過度に浅くなることはないので、気兼ねなく絞りを開けられる●73mm時(200mm相当)・絞り優先AE(絞りf2.8・250分の1秒)・ISO160・AWB・JPEG
望遠側での近接撮影だがフルサイズ機のように被写界深度が過度に浅くなることはないので、気兼ねなく絞りを開けられる●73mm時(200mm相当)・絞り優先AE(絞りf2.8・250分の1秒)・ISO160・AWB・JPEG


 撮像素子の読み出しが高速なので電子シャッターでも、旧式なフォーカルプレーン機並みに100分の1秒までストロボのシンクロが可能。この撮像素子の高速性は、静止画はもちろんのこと、動画撮影時の動体描写の安定感にも利きそうだ。レンズが異なるので両モデルでフィーリングに若干の違いはあるが、AFの作動もメーカーのうたい文句どおりに速く、RX10IIはパワーズームのレンズが動く速さが設定できるようになったことで使用感も向上している。


3万2000分の1秒の電子シャッターもすごいが、2000分の1秒までシンクロ撮影ができるのも実用的だ。内蔵のNDフィルターと組み合わせれば絞りf2.8で太陽をボカしつつ、そのうえでストロボも利かせた撮影ができる。レンズ正面から日差しギンギンな条件だが、ストロボの調光もバッチリだ●12mm時(32mm相当)・マニュアル(絞りf2.8・1600分の1秒)・ストロボ強制発光・内蔵NDフィルター・ISO125・AWB・JPEG
3万2000分の1秒の電子シャッターもすごいが、2000分の1秒までシンクロ撮影ができるのも実用的だ。内蔵のNDフィルターと組み合わせれば絞りf2.8で太陽をボカしつつ、そのうえでストロボも利かせた撮影ができる。レンズ正面から日差しギンギンな条件だが、ストロボの調光もバッチリだ●12mm時(32mm相当)・マニュアル(絞りf2.8・1600分の1秒)・ストロボ強制発光・内蔵NDフィルター・ISO125・AWB・JPEG


 同じ食材で調理が異なる二皿の料理のようなRX10IIとRX100IV。電子ビューファインダーの倍率も大きく、200mm相当の望遠域までF2.8通しで見た目にも迫力のあるRX10IIが本格的な撮影向き。コンパクトなRX100IVが気軽に持ち歩けるスナップ向けのカメラのように思うかもしれない。別々に使えばそのように感じるし、たしかに動画撮影に関しては間違いではない。しかし今回、2台を同時に持ち出して使ってみると、難しいことを考えずに、撮りたいものにカメラを向けてシャッターを切れ、軽快にスナップを楽しめたのは、むしろRX10IIのほうだった。逆にRX100IVを手にすると「設定を工夫することも撮影の楽しさのうち」といった気分に半ば強制的に引きずり込まれてしまう感じが面白い。RX100IVは、ZEISST*コーティングまで施したポップアップ式の電子ビューファインダーなど、カメラ本体の持つ凝縮感に使用者が同調する装置のようでもある。これだからカメラは使ってみないとわからない。


水を入れた風船が割れる様子をフルHD(1920×1080)で960fps(40倍)のスーパースローで撮影しフレームごとに並べた。ボタンを押した時が撮影終了になる「エンドトリガー」ならこのようなシーンも簡単に撮れる。RX10IIで撮影
水を入れた風船が割れる様子をフルHD(1920×1080)で960fps(40倍)のスーパースローで撮影しフレームごとに並べた。ボタンを押した時が撮影終了になる「エンドトリガー」ならこのようなシーンも簡単に撮れる。RX10IIで撮影


◆ まつらやすし


* * *
Cyber-shot RX10II
●レンズ:ZEISS バリオ・ゾナーT* 8.8~73.3mm(24~200mm相当)F2.8。レンズ構成:11群14枚(AAレンズを含む非球面レンズ7枚)●撮像素子:有効約2020万画素。1.0型(13.2×8.8mm)。総画素数:約2100万画素●ファインダー:0.39型、235万9296ドット、電子式ビューファインダー。倍率:約0.70倍(35mm判換算:50mm・∞・-1dpt)。視度補正:−4.0~+3.0dpt●モニター:3.0型、122万8800ドット。角度調整:上に約107°、下に約42°●シャッター:メカシャッター:1/3200~30秒、電子シャッター:1/3万2000~30秒●撮像感度:オート、ISO100~1万2800(拡張ISO64)、マルチショットNR:オート、最大ISO2万5600●連続撮影:最高約14コマ/秒●無線通信:NFC、無線LAN(IEEE802.11b/g/n)●記録媒体:メモリースティックデュオ(PROデュオ/PRO-HGデュオ対応)、SDメモリーカード(SDHC/SDXC、UHS-Ⅰ対応)●大きさ・重さ:約129.0×88.1×102.2mm・約813g(バッテリーとカードを含む)、約770g(本体のみ)●価格:オープン(実売17万2670円)


Cyber-shot RX100IV
●レンズ:ZEISS バリオ・ゾナーT* 8.8~25.7mm(24~70mm相当)F1.8~2.8。レンズ構成:9群10枚(AAレンズを3枚含む非球面レンズ9枚)●撮像素子:有効約2010万画素。1.0型(13.2×8.8mm)。総画素数:約2100万画素●ファインダー:0.39型、235万9296ドット、電子式ビューファインダー。倍率:約0.59倍(35mm判換算:50mm・∞・-1dpt)。視度補正:−4.0~+3.0dpt●モニター:3.0型、122万8800ドット。角度調整:上に約180°、下に約45°●シャッター:メカシャッター:1/2000~30秒、電子シャッター:1/3万2000~30秒●撮像感度:オート、ISO125~1万2800 (拡張ISO80)、マルチショットNR:オート、最大ISO2万5600●連続撮影:最高約16コマ/秒●無線通信:NFC、無線LAN(IEEE802.11b/g/n)●記録媒体:メモリースティックデュオ(PROデュオ/PRO-HGデュオ対応)、SDメモリーカード(SDHC/SDXC、UHS-Ⅰ対応)●大きさ・重さ:約101.6×58.1×41.0mm・約298g(バッテリーとカードを含む)、約271g(本体のみ)●価格:オープン(実売12万9470円)