立憲民主党の泉健太代表

 現に党内には代表交代を画策する動きがあるとも言われる。確かに、そういう目で見ると、最近、立憲の「ふるーい」顔ぶれがやたらとテレビに露出しているように感じる。

 しかし、泉おろしでこれらの旧民主党の議員が前に出るようなら、立憲に未来はないだろう。昔の社会党と同じく滅亡への道をたどるだけだ。

 先々週の本コラムで紹介したとおり、立憲の中には、昔の民主党とは全く関係なく、しかも安倍晋三政権下の逆風の中で勝ち残ってきた議員がたくさんいる。彼らの多くは、自民党議員や立憲の古株議員に比べてはるかに質が高くやる気もある。

 そこで提案だ。

 泉代表は、党役員や影の内閣に若手を多数登用してはどうか。古株議員には役職を降りてもらい、裏のサポート役に回ってもらうのだ。

 野田佳彦元首相や安住淳国対委員長が大きな顔をして偉そうに振る舞う姿を見れば、はっきり言ってみんな一斉に引いてしまうだけ。政治には熟練の技が必要だというような世界とははっきり手を切るべきだ。自民党と裏で手を握りながら表で戦うフリをする輩も必要ない。手練手管など投げ捨てて、思い切り自民党と戦う勇気のある若手が泉代表を囲んで突き進む。併せて、失われた30年、いや「自民党悪夢の30年」の間、全く戦うことをせず、今や自民党に完全に取り込まれてしまった連合とも堂々と縁を切る。

 そこまでやれば、これまで「お偉方」や連合に気を使うばかりで、本来の持ち味を出せなかった泉代表も本来の能力を活かし、思い切った言葉と行動でもう一度国民に訴えかけることができるのではないか。

 それでもダメなら、そのときこそ、若手を代表に大抜擢し、背水の陣で戦う。

 それくらいの危機感を持ってほしい。そのために、若手議員には、自民党の裏金問題追及と政治資金規正法改革において、一切の妥協を許さないという態度で執行部を突き上げてもらいたい。

 国民は、野党の本気度を確かめようとしている。本気度を疑えば誰もついて来ない。背水の陣で政権交代に臨む野党第一党の気概をなんとしても見せてもらいたい。

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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