彼によれば、トランプ氏が勝てば、民主主義が失われることは分かっているが、民主党にはその危機感が足りない。バイデン氏が負けそうなのに、バイデン氏以外の候補に差し替えようとしないことを批判した。

 では、他に候補はいるのかということについて、彼は、ハリス副大統領、カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム、ペンシルベニア州知事ジョシュ・シャピロ各氏をバイデン氏よりも人々を駆り立て、バイデン氏よりもカリスマ性があると持ち上げた。(ちなみに、最近、ミシェル・オバマ元大統領夫人を民主党の大統領候補にという話も取り沙汰されるが、今のところ、その可能性は極めて低い)

 ハリス副大統領は、民主党支持者の中でも期待外れだったという人が多いのに、彼がそこまで褒めるのは、とにかくバイデン氏で負けることは何とか避けたいと思っているからだ。民主党に候補差し替えをする覚悟、必死さが欲しいということだろう。

 さて、この話を聞いて、日本に当てはめて考えた読者も多いのではないか。

 裏金問題で屋台骨が揺らぐ自民党は、まさに「詐欺師」であることがはっきりした。その自民党に代わって政権交代を狙うべき立憲民主党はと言えば、裏金問題では戦う姿勢を見せているものの、予算成立が遅れれば能登半島対策が滞るという批判が怖くて、どこまで予算審議を遅らせるか迷っていた。

 その結果、政治倫理審査会に岸田文雄首相が出席すると言われて、そこで開催に同意してしまった。立憲は引き続き自民党批判を続けるだろうが、腰砕けのままでは、自民党に足元を見られ、結局、裏金問題追及はのらりくらりとかわされて中途半端なまま終わりということになりそうだ。

 本来、立憲は、自民党の萩生田光一前政調会長や二階俊博元幹事長らが政倫審に出席するまで予算審議を止めて戦うべきだった。能登半島予算を組み込むことを暫定予算案審議で提案すれば誰も反対などしないから問題は起きないはずだった。

次のページ
国民の怒りは中途半端な改革案では収まらない