しかし、立憲の国会対策委員会は自民党の国対との裏取引(おそらく、予算の衆議院通過と引き換えに野党に花を持たせる演出をする約束)で妥協したのだと思われる。
こうした対応を見れば、政治資金規正法改正案で立憲が妥協する可能性も高いと言わざるを得ない。先々週のコラムで述べたとおり、各党の中で最も進んだ改革案を提示しているのが立憲だ。日本維新の会もついて来られないほどの案である。
だが、自民党は、まさにそこを突いてくるだろう。野党の中でもまとまった案がないのでは話にならないなどと牽制球を投げてくるはずだ。そこで維新が立憲を批判する。全く妥協しないのでは民主主義は成り立たないなどという話になるのだ。
そのとき、立憲が、法案成立を止めても最後まで戦うことができるかというと、かなり怪しい。立憲若手の中にも、幹部が妥協するに違いないと予測する議員がいる。
だが、国民の怒りは中途半端な改革案では収まらない。下手な妥協をすれば、野党も共犯ということになり、政権交代を望む声は水をかけられることになるだろう。
結局「臆病者」の立憲ということになってしまう可能性大なのだ。
立憲が「臆病者」という点については、筆者は以前から懸念を有していた。
例えば、台湾有事において、日本は米軍に基地を使わせるべきではないということをはっきり言えない。米軍は、沖縄の基地を使えなければ中国とは戦えないことは米側のシミュレーションでも明らかになっている。従って、日本が基地を使わせないと言えば、自動的に台湾有事は起きない。
そのことを立憲首脳陣の一人に話すと、こんな反応が返ってきた。
「古賀さんの言うことはよくわかります。でも、もしそんなことを言ったら、『台湾を見捨てるのか』とか『沖縄が危ないのに何を考えているのか』などという批判で炎上するのは明らかです。だから、なかなか難しいんですよ」
「正しいと思うことなら、すぐに国民が納得しなくても、なんとか説得しようと試みるのが政治家の責任ではないんですか」と返したが、「そうなんですけどね」と力無く頷くだけだった。