誰よりもうまく作る自信がある
――たきうえさんの真っすぐな言葉に、ちゅうえいさんが勢いよく割って入った。
ちゅうえい いま、こいつはとんでもないミスを犯しました。「生活は安定してます。単純に優勝という肩書がほしい」ってヤツ、誰が応援したいと思う? 最後の最後でハングリーなヤツを応援したいでしょう。
たきうえ 僕は嘘がどうしても嫌いなんです。僕ら、イベントとかお祭りとか、多くの芸人が苦戦するような営業でちゃんと受けるネタをやってきたから、そこは強いんです。たとえばデパートだと、赤ちゃんは泣くし迷子のアナウンスも入るし罵声もくるし、そういう場で笑いをとることをやってきたから。ニッチなフランス映画もできますし、ポップな映画も誰よりもうまく作る自信があるんですよ。
ちゅうえい うん、圧倒的に鼻につきますよね。ただ、こういう人間も受け入れられる世の中になってきたとは思います。昔はみんな「右向け右」だったのが、「左を向きたいのに、なんで右を向かなきゃいけないの?」っていう声を上げやすくなってきた。こいつがピックアップされる世が来るかもしれないですよね。俺は来てほしいとは思わないですけど。
たきうえ 来ますよ。もう来てますよ。
――二人とも剛速球で質問に答え、自分の言葉で語ってくれる。熱量の理由を尋ねると、ちゅうえいさんが「芸人は自分の言葉に責任を持ちたいから」と答えた。たきうえさんの「老若男女を笑わせてきた」という自負は印象に残った。現場で鍛え上げた2人の「笑い」の行方を見守りたい。
(構成/ライター 小松香里)