
目ヂカラは健在
「ブギウギ」のほか、今年は2本の映画作品にも出演予定の田中。孤独な少年少女の喪失から再生までの姿を描いた『愛のゆくえ』(3月1日公開予定)では、主人公ふたりを女手一つで育てる母を。映画に魅せられた若者たちの青春群像劇『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』(3月15日公開予定)では、青年たちの背中を押すバーのママを演じる。
エンターテイメントジャーナリストの中村裕一氏は、彼女の魅力をこう分析する。
「話題になった『ブギウギ』での出演シーンでは、スズ子相手にたんかを切る姿と表情の迫力に思わず圧倒されました。10代のころを知っている人にとっては、『あの“なっちゃん”がすっかりたくましくなって……』と不思議な感慨深さがあったのではないでしょうか。戦後の混乱期を生き抜いていかなければならなかった女性の強さと切なさが、彼女の目ヂカラとともに見事に表現されていたと思います。2013年にインタビューをしたことがあるのですが、人と人のつながりについて『“縁”って信じたほうが楽しいと思います。そう考えるだけでも、人生が豊かになるんじゃないかなって私は思うんです』と語っていたのが印象に残っています。その後、ほどなくして結婚し、出産。きっと公私ともに良い縁に恵まれてきたのでしょう。今後も俳優として息の長い活躍に期待したいです」
清純派から大人女優へと成長し、確固たる地位を築いた田中。年を重ねてますます輝きを放つ彼女の演技には、今後も注目が集まりそうだ。
(高梨歩)

