軽く打ち合わせをしてブースに入り、収録開始。どういうことだ? ナレーションはいつも通りのとても美しいお声なのだ。これがプロというものか!?
「チーンっ!」
録音が止まるたびに、鼻セレブでチーンする本物のセレブ〇〇さん。隣にいる私に臆することなく「チーン」。最高だ。私は〇〇さんの「チーン」を独り占め。こんなステキな「チーン」はなかなか聞けるもんじゃない。
「チーンっ!!」
まるでカットを告げるカチンコのようにブースに響く「チーン」。
はなをかみかみ、ナレーション録り録り、ゴミ箱モリモリ。あっという間に五時間経過で、収録は見事に終了。そして途中で鼻セレブはなくなっていた。
「お疲れ様でした。また何かあればよろしくお願い致します」
「よろしくお願い……あ、すいません! ティッシュありますか!」
〇〇さんのラストチーンが鳴り響く。
はなをかむという行為は全ての人間をフラットにさせる尊い生命活動だと思う。この日は〇〇さんがとても身近に感じられた良い一日だった。
休憩中に「鼻セレブってすこーし甘いですよね。ひもじい時とかちょっとした食料になるんじゃないですかね? どう思います?」と〇〇さんに聞いてみたら「あー、そうですね。それもアリですね!」と言っていた。
ティッシュを食えるか否かなんて話題を女優さんと話すとは思わなかった。最高だ。そういえば〇〇さんも最後に言ってたな。
「急にきますよ、花粉症って!」