爆発的なエネルギーを持っているだけではなく、彼女の芝居には、不思議なほど嘘がない。それが時代や国や文化の全く違う場所で生まれた翻訳劇であっても、大原さんは、セリフの中に、その時代の空気をまとわせる。
「お芝居の中で、言葉は一番大事に扱わないといけないものだから、言い方が気持ち悪かったら、そのときは演出家の方に相談します。セリフを覚えるのは得意ではないですが、動きがついてくると、だんだんセリフが染み込んでくる感覚はあって。稽古の行き帰りやお散歩しながら、ブツブツ言って覚えることが多いです。あとは、目と耳を同時に使うことが、記憶に一番効果的だと聞いたことがあるので、寝る前は、本読みの音声を録音したものを耳で聞きながら、台本を目で追います。でも、そうやっていろいろ工夫するのも楽しいです。なんで学生の頃はこんなふうに頑張れなかったんだろう。人間って、好きなことにしか夢中になれないんですね(笑)」
(菊地陽子 構成/長沢明)
>>前編を読む/大原櫻子の運命の出会い「本当はダンサーではなく俳優志望です」
※週刊朝日 2022年6月24日号より抜粋