山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「子宮頸がんワクチン」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

【データ】20代からある子宮頸がんのリスク

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 サンディエゴに住むようになり、はや1年が過ぎました。とあるスクールのクラスで出会った一人が、10年ほど前にフィリピンからやってきたという、5歳の女の子と9歳の男の子の母親でもある女性です。席がたまたま近かったこともあり、よく話すようになりました。

 そんな彼女と話していた、ある日のことです。ひょんなことからワクチンの話になりました。「コロナのワクチンを接種したけれど、コロナになったわ」なんて、お互いのことを話していたら、「息子が11歳になったら、HPVワクチンを接種する予定なの」と、彼女の口から、私にとっては、嬉しくもあり思いがけない言葉が飛び出したのでした。

「ワクチン接種で感染を予防できると聞いたの。だから、息子に接種させたいと思っているわ。もちろん娘にもね」と彼女は続けました。

 HPVワクチンとは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染予防に効果のあるワクチンです。100種類以上の型があるHPVの中でも、特にHPV16型と18型の2種類が、子宮頸がんの原因の約7割を占めていること、HPV感染の多くは免疫力によって排除される一方で、持続感染してしまうと前癌病変を経てがんになってしまうことから、日本では、このHPVワクチンは主に「子宮頸がんワクチン」と呼ばれています。

HPVワクチンの有効性

 2024年1月、Tim氏(※1)らによって報告されたHPVワクチンの有効性に関する最新の報告があります。

 その報告では、英国スコットランドの1988年1月1日から1996年6月5日までに生まれた女性のデータを調べた調査によると、12歳か13歳のときに、2価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを接種した女性において、子宮頸がん(浸潤がん)の発生は、一切認められなかったというのです。

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発現率は非接種女性に比べ87%低い