また21年11月には、英国の2価(※2) HPVワクチン予防接種プログラムの導入による結果がMilena氏らによって報告されており、それによると、英国の20歳から30歳未満の女性を対象とした、計1,370万件の追跡調査したデータ解析の結果、12~13歳の時にHPVワクチンを接種するのが最も有効で、接種した女性の子宮頸がんの発現率は非接種の女性に比べて87%低いと推定されたといいます。
こうしたHPVワクチンの有効性について、私自身も大学生の頃にHPVワクチンを接種した経験も添えながら、拙い英語ながらに伝えたところ、「私の考えは間違ってなかったわ。教えてくれてありがとう」と言ってもらえたのでした。
女の子だけでなく男の子も
さて、どうして「私にとっては、嬉しくもあり思いがけない言葉」だったのか。それは、女の子だけでなく、男の子にも、HPVワクチンを接種させることを検討している女性が身近にいたことを知ることができたからです。
現在、日本では、小学校6年から高校1年相当の女子を対象にHPVワクチンの定期接種が行われていますが、アメリカ(※3) では11歳から12歳の女子だけでなく、男子も接種することが推奨されています。
そのことが、広く知れ渡っているのであろうことを実感することができ、女子だけでなく男子にもHPVワクチンの接種が大切だと考える私にとって、嬉しく感じられたのです。
思いがけなかったもう一つの理由は、ワクチンやワクチン接種というプライベートに関わる内容であったにも関わらず、彼女は気さくに話してくれたからです。アメリカに住むようになり、個人的な内容に関する質問は、より一層気をつけるようになっていた私にとって、彼女からワクチンについて話を共有してくれるなんて、思ってもいなかったことだったのです。
厚生労働省が報告している「HPVワクチンの海外での使用状況」によると、22年12月時点で120カ国以上において、公的なHPVワクチンの予防接種が実施されており、カナダ、イギリス、オーストラリアなど接種率が8割を超える国もあるといいます。