作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。
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ようやく趣味のプロレス観戦を楽しめる週末がやってきました。「あと○日でこれがあるから頑張ろう」と、鼻先ににんじんをぶら下げる方法、プロレスにハマるまでは効果を感じたことがありませんでしたが、美味しそうなにんじんなら意外と走り続けられるものですね。自分にもそういう単純なところがあったのかと、我ながら感心します。
さて、日曜日の夜に観たセンダイガールズプロレスリング主催興行。これが凄まじかった。どのカードも見ごたえがありましたが、メインの優宇選手と橋本千紘選手の「チーム200キロ」と、桃野美桜選手と岡優里佳選手のタッグ戦(2vs.2)に魂を揺さぶられまくり、心の三半規管がぶっ壊れてしまうほどでした。
言わば、屈強な先輩チームに小兵の後輩たちが挑む構図。優宇選手と橋本選手は、柔道とレスリングで培った技術を生かし、チーム名の通り大きな体(と言っても2人とも150センチメートル台ですが、全くそうは見えない!)を機敏に動かして力と技で相手を押さえ込むタイプ。男子選手とも互角に闘います。一方、桃野選手は148センチメートルと小柄ながら、どこからそのパワーが溢れてくるのか呆気にとられるほどの負けん気とスタミナの持ち主。岡選手は粗削りながら一生懸命で、「これから」が楽しみな新人。しかし、ほかの3人との実力差は一目瞭然。この試合、どうなるのと思っていたら……。