鈴木奈々はなぜ大幅に仕事を減らしてしまったのか。よく言われているのは、ライバルが次々に台頭して、鈴木のポジションを奪っていったという説である。同じくモデル系タレントの藤田ニコル、池田美優(みちょぱ)、木村有希(ゆきぽよ)、生見愛瑠(めるる)、明るいおバカキャラの丸山桂里奈、フワちゃんなど、鈴木の枠には時代ごとに続々と新規参入が続いている。
また、コロナ禍になったことで、鈴木が得意とする体を張った企画などができなくなり、活躍の機会が減ってしまったのではないか、という声もある。
しかし、それだけのことでここまでピンチに陥るというのも不自然な感じがする。結局のところ、テレビにおける「おバカキャラ」という生き方自体に賞味期限があるのが、そもそもの原因だったのではないか。
テレビに出て話をしたときに、ちょっと抜けたところがあるような人は「おバカキャラ」として扱われ、重宝される。しかし、そういう人は「おバカ」な一面を求められ続けるうちに、本来の持ち味である自然な部分を失ってしまう。
たとえば、クイズが解けない、一般常識がない、といった部分を面白がられている人は、テレビに出ているうちに嫌でもだんだん知識も身についてくるし、正解もわかるようになる。そして、正解を外すことが求められているのだということも何となく理解できてくる。そこで、わざと間違った答えを言うようになる。いわば、持ち前の「おバカ」なところが天然ものから養殖ものになってしまうのだ。
鈴木もこの罠に陥っていたのではないか。求められることに応えようとする純粋な気持ちが、その持ち味を殺す方に働いてしまうのだから皮肉なものだ。
彼女はエゴサーチをして、自分に対するネガティブな意見を目にして、落ち込んだりすることもたびたびあったのだという。2021年には体調不良で休養をしていたこともあった。
しかし、鈴木は完全に終わってしまったタレントというわけではない。この日の『さんま御殿』でも、同じ内容の話を何度も繰り返し、天然ものの強さを見せつけていた。