ニッセイ基礎研究所の前山裕亮さんによる、毎月のつみたて金額と期間を変えた試算。「毎月30万円×5年」でも「毎月10万円×15年」でも、元本(財布から出したお金)は1800万円となる。表は、それぞれの投資期間でインデックス型投資信託をつみたてて保有していたら30年後にいくらになっていたかを示す(いずれも、新NISA用のシミュレーションのため税引き前のデータ)。S&P500、MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス。この指数がない期間はMSCI ワールド・インデックスを使用)は配当込みの指数をその時々の為替で円換算した数値を使用。各指数の「配当込み」が存在しない期間は代用数値で計算

 武田さんは「データを見ると5年投資のほうがいい結果に終わることが多かった。ただし過去の実績であって、これからはわからない」と言ったが、どんな結果か見てみたい。

 そこでニッセイ基礎研究所金融研究部主任研究員の前山裕亮さんにお願いし、本誌用に「毎月30万円×最短5年で1800万円」と「毎月10万円×15年で1800万円」という2つのつみたて期間で検証してもらった。

 投資対象は、米国の株価指数S&P500全世界株式を指数化したMSCI社の「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」(以下、ACWI)、日本株のTOPIX(東証株価指数)の3つ。

 1973年から1993年の各年につみたて投資をはじめて、30年後に資産評価額がそれぞれどれだけ増えたかを、「投資スタート年ごと」に運用成績を計算した(本記事に掲載の表参照)。

編集部注:S&P500、MSCI ACWI(ACWIがない期間はMSCIワールド・インデックス)、TOPIXは配当込みの指数で計算。配当込み指数が存在しない期間はその時々の為替で円換算した数値を使用し試算した

「大半の期間において、最短5年で1800万円を投資したほうが、15年かけて投資するより、30年後の運用成績がいい(お金が増えている)という結果でした」

「S&P500や全世界株式指数のACWIは、1973〜1977年のどの年を開始年にした15年間でも、ほぼ右肩上がりでした。

結果、つみたてる期間が短いほど『増える期間』が長くなったことが、最終的な資産評価額に差がついた要因です。

相場が右肩上がりという前提なら、早く、多く投資したほうがお金の増え方が大きくなるのは、ある意味で当然のこと」

 たとえば1992年に月30万円ずつS&P500の投信でつみたてを開始。5年後の1996年に上限の1800万円に到達する。

そのまま2021年まで25年間ほったらかしにしておくと、30年で投資元本1800万円が3億1844万円まで増えていた計算。

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30年の運用で日本株元本割れはこの年