(左から)三菱商事の中西勝也社長、ローソンの竹増貞信社長、KDDIの高橋誠社長

 「コンビニは今でも十分便利で、消費者からも現状に対して大きな不満は出ないほどサービスは充実しています。ただし今後、ネックになるのは国内の市場縮小や働き手の不足です。そこで『セルフレジ』の普及や遠隔地からの『リモート接客』、さらに注文から短時間で宅配する『クイックコマース』などのサービスを一段と進化する上で通信技術が鍵になってきます。KDDIが参画する意義は大きい」

 通信技術の活用により遠隔地からの接客が容易になれば、例えば、医薬品の販売は、薬剤師の設置や対面での服薬指導などが足かせになっていますが、コンビニでも扱いやすくなる日が来るかもしれない。最近は食品や生活用品を扱うドラッグストアの進出にコンビニ業界は押され気味だ。また、使いやすい宅配サービスができれば、国内で圧倒的なシェアを持つ米アマゾンの牙城を切り崩すことにつながる可能性もある。

コンビニは日常的に利用

 さらに今回の協業が実現すれば、ポイントサービスをはじめとした携帯各社で激しさを増す利用者の囲い込み競争にも影響がおよびそうだ。

 ポイント交換案内サイトの開発を手がける「ポイ探」代表の菊地崇仁さんはこう話す。

「2月6日の会見でも否定的な発言がなされたように、ローソンの店舗でいきなりNTTドコモの『dポイント』の取り扱いをやめるようなことはないでしょう。それでもいずれKDDIの『Ponta(ポンタ)ポイント』を優遇するようになっていくことは想定できます。コンビニは日常的に利用するものなので、消費者との接触率は高い。携帯各社には販売店網があるといっても、コンビニほどではありません。その意味でKDDIがリアルの実店舗の世界に入っていく意義は大きい。ローソンがPontaを優遇するようになれば、その勢いはおのずと強くなっていくはずです」

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競争がより激しく