ダンディ坂野さん(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

 2000年代、「ゲッツ!」のフレーズで一世を風靡したお笑い芸人のダンディ坂野さん(57)。テレビで見る機会は減ったが、現在でも、週末は営業で地方を駆け回り、CMにも多数起用されるなど、依然として安定した人気を誇っている。そんなダンディさんだが、なぜか「今は氷河期」と明かす。売れてもやっぱり世知辛い、「一発屋芸人」特有の事情などを話してもらった。

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「やっとコロナ前と同じくらいに営業の仕事が戻ってきて、週末はほとんど地方にいます」

 トレードマークの黄色いスーツに身を包み、充実の表情で語り始めたダンディさん。営業では、昨年ごろから新たな試みも始めたそうだ。

「『お笑いじゃないじゃん』ってツッコまれそうですけど、イベントなどでトシちゃん(田原俊彦)の『抱きしめてTONIGHT』を全力で踊るというのを始めたんです」

 これがとても客ウケがいいのだとか。

「すごく拍手をもらって盛り上がって。これやり始めてから営業が楽しくなってきました。それまで、毎回、なにしゃべろうかなって頭抱えてたんです。『ゲッツ!』だけで30分は無理じゃないですか(笑)」

 ダンディさんは、2003年、「ゲッツ!」のフレーズで大ブレーク。同年、「新語・流行語大賞」にもノミネートされた。このとき、芸歴10年の36歳。仕事の依頼でマネージャーの電話が鳴りやまず、常に充電しておかないといけないような状況だったという。

「『よっしゃ、芸能界に名前刻んでやったぜ!』みたいな感じでうれしかったですけど、このブームが長く続くとは思っていませんでした。あくまで「ゲッツ」のフレーズや黄色いスーツのキャラクターがうけているのであって、実力がともなっているわけではないのですぐに終わるなと。案の定間もなくテレビの露出は減っていき、世間からは「消えた」と言われるようになりました。そしてそれに代わる形で波田(陽区)くんとか(レイザーラモン)HGさん、ムーディ勝山さん、コウメ(太夫)さんなどのキャラ芸人が次々ブレークしていき同じ道をたどるという……」

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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一発屋の“爆発力”が小さくなった