ダンディ坂野さん(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

アメリカンコメディーをヒントに

 ダンディさんはやめようとは思わなかったのだろうか。「もちろん思ったことはありますよ」と言う。しかし、そこでやめずに踏みとどまれたのは、今の芸風を生み出せたからなのだという。

「僕らの時代って、やっぱりダウンタウンさんとか、とんねるずさん、ウンナンさん、あとはボキャブラブームでもあったんで、20代で若くしてスターになっている人たちを見てきてて、その人たちに憧れてたんです。だから、それをマネて芸風を作っていました。けど、僕、なにやってもうまくいかなくて。そうこうしてるうちに、年齢も30近くなってたんで、『じゃあ、自分の好きなことやって、ダメならやめよう』と思って始めたのが、今のスタイルだったんです」

「ダンディ坂野」というキャラクターを、自身でこう説明する。

「普通のおじさんがしゃべってるんですけど、黄色いスーツ着て、『ゲッツ!』とか言ってネタを始めると、スタンダップコメディ的なノリになるんです。で、しゃべり方も『俺、この前さ……』みたいにアメリカンジョークっぽい感じにして。僕、レンタルビデオ屋でバイトしてたんですけど、当時、エディ・マーフィが全盛の時代で、アメリカのコメディー番組を見る機会が多かったんです。そこからヒントを得て、キャラを作っていきました。きっちり作りこんだネタとかコントをやるというのが向いてない僕みたいなタイプの芸人には非常にマッチしたんですね。全員にはウケなかったんですけど、一部には非常に好評で。芸人って万人に支持されなくても、それぞれが活躍できるポジションがあると思うんです。すばらしいツッコミができても、そのためにはボケが必要で、そのボケのなかでもちょっと汚れ役がいたり。あとはリアクションがうまい人がいたり。役割がたくさんあるなかで、自分はどこで力を発揮できるかを考えることが大事だなと実感してますね」

(AERA dot.編集部・唐澤俊介)

※【後編】<CMキング「ダンディ坂野」の意外な子育て 小学生の息子は全国模試3位の“秀才”>に続く

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