営業中のダンディ坂野さん(事務所提供)

「35億の人」あたりから氷河期

 とはいうものの、特に悲観はしていなかったという。

「100あった仕事が年明けに50くらいになったりしましたね。年明けって、急にテレビ局からのオファーが来なくなるんですよ。それで、仕事が半分になった当時は、『暇じゃん』って思ってました。でも、いま昔のスケジュールを見ると、その50のスケジュールでも、『え、こんなスケジュールこなしてたの?』って感じなんです。ブレークのときがすご過ぎて。そう考えると、世間の人も急に見なくなったっていうのはその感覚なんだと思います。急速にテレビからいなくなるというか。でも、結構仕事してるんですよ(笑)。なので、『もう俺、終わりだ』とか『またバイト生活に逆戻りじゃん』とは思わなかったですね」

 しかし、世間一般にはテレビで見かけなくなれば、「ダンディは消えた」とみなされてしまう。そのことについてはどう思っていたのだろうか。

「本音を言えば、いい気はしませんし、テレビをつけると違う人が売れていて、寂しさはありましたね。けど、『まあ、そのうち“こちら側”にいらっしゃい!』って思ってました(笑)。こっちの世界は面白いですよ、見渡すといろんな人がいますから。顔を白く塗って着物着て『チクショー!!』って叫んでる人もいれば、ギター持って『残念!』って言ってる人もいて。それから、『ワカチコ、ワカチコ』言ってるちっちゃいことは気にしないアイドル志望の人とかもいましたね」

 2000年代は一発屋芸人の黄金期だ。ダンディさんのほかにも、テツandトモ、波田陽区、レイザーラモンHG、コウメ太夫など……、多くの一発屋芸人がブレークを果たした。しかし今、一発屋芸人は“氷河期”にあるとダンディさんは感じているという。

「いつごろから、ですか? そうですね……、『35億の人』あたりからですかね。そのあと、『ひょっこりの人』とか『パンケーキ食べたい人』とか出てきましたけど、これまでに比べると爆発力は小さかった気がします。キャラ芸人が出てきにくくなってる感じがありますね」

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漫才芸人の方がキャラが強い