打者としては通算2108安打、27年連続本塁打を記録した

際どいコースを「ボールですよ」と自己申告する真っ正直

 谷繁は「真っ正直」で有名である。

 最近は「キャッチング」を「フレーミング」と表現する。かつての捕手は、本塁ベース周辺の球を内に内に動かす傾向があった。それが最近は変わってきて、捕った位置でビタッと止める「ビタ止め」が主流だ。

 「ミットが流れてストライクがボールとジャッジされないようにビタッと止める。逆にボール球をストライクゾーンに入れない。ボールはボールだ」というポリシーが谷繁にはあった。

 (あれ、ちょっと今のは甘かったかな……)と審判がつぶやくと、「今ぐらいはストライクに取らないと、ピッチャー、死んじゃいますよぉ」と言う捕手がほとんど。しかし谷繁は、「審判さん、今のは少し甘い。ボールですよ。忘れておきますから、次はちゃんと修正してください」だった。

 だからプロの審判員たちにとても信頼されていたそうだ。

 『勝敗はバッテリーが8割』の書籍のタイトル名に関しても、最初の案は「勝敗はバッテリーが9割」だったそうだ。書籍のタイトルは「~が9割」のフレーズが定番だ。それを谷繁が「野球ではほかの部分も大事だし、9割は多いんじゃないの」ということで、「8割」に変更されたそうだ。本当に真っ正直だ。

ダルビッシュ有からのヒットを「楽しげ」に思い出す

 「僕が打者として対戦してナンバーワンと感じた投手はダルビッシュ有だ」

 ダルビッシュの変化球は10種類とも11種類ともいわれ、全部を勝負球で使えるから脅威なのだ。谷繁はダルビッシュの投球を受けたことはないが、ダルビッシュが日本ハム時代の06年と07年に日本シリーズで対戦している。

次のページ 「(タニシゲをもじって)楽しげ」と呼ばれるゆえん