わたしの母は、「趣味は、介護?」と思えるくらい人の介護をしてきた。
幼いころ、子どものいない叔母のところに養女に出された母は、叔母夫婦の介護を最後までした。
それだけでなく、兄弟が他に何人もいるにもかかわらず、
「みんなが面倒見れない……っていうから……」
と、自分を産んだ両親の面倒をみた。
そして、よくわからないけれど、ある日から、わたしがほとんど知らない女性が家にしょっちゅう来るようになっていた。
「身寄りがないから」
と、遠い親戚の面倒まで見ていた。
また、事故で要介護5になった父の介護を4年間した。もちろん、下の世話もしていた。
「ほんま、よくそんなに人の面倒を見れるね」
と、思わず母に突っ込んだ。
母から、返ってきた言葉は、
「みんな可愛らしいよ」
「最後まで関わったら、意外と清々しい気分になれるよ」
そして、笑いながら言う。
「わたし、ちょっとした介護のプロだよね」
そんな母だから、わたしは、心底、最後まで幸せでいてほしい。
そう思っている。
母の近くには、ありがたいことに、わたしの弟夫婦が2組とも住んでいるし、お嫁さん2人も孫も、本当に母と楽しくやってくれている。
わたしは、そんな弟たちとその家族に感謝している。
だから、時々、出張先から、子どもたちの好きそうなものを送る。
近くに住んでいない私が、将来、どこまで介護できるかどうかわからないけれど、せめて、気をつかうことだけはしたいと思っている。
「いつも、ありがとう」という気持ちを大切にしている。
わたしの知人で山田由理枝さんという女性がいる。
夫と会社を経営しているだけでなく、営業もする。
商工会婦人部のお世話もするし、いろんな人の面倒も見ている。
そして、彼女は、姑さんの介護もして、舅の面倒も見ている。
そんな彼女が、役所の介護の会議に「有識者の意見を聞きたい」と呼ばれた。
そして、帰ってきて言った。