「お芝居の経験があまり多くない俳優さんと現場でご一緒した時、もしその方が自信のない、不安そうな風情でいたら、なるべく自分から声をかけるようにしています。役のことを一番思っているのは演者なのだから、その人が無理してしまってはいいものは生まれない。私も若い頃、先輩に声をかけていただいてラクになった経験がありました。自分がやってもらって嬉しかったことは、人にやってあげたいと思うんです」
そうやって、カメラが回っていない場所でも存在感を発揮しながら、「私らしいお芝居など必要ないと思っています」とキッパリ言い放つ。
「大事なのは、いかに吉田羊を消すか。私のことはどうでもよくて、役のキャラクターとして見てもらうことが何より重要。演じるからには、自分のことなんかより、役のことを、深く愛してあげたいと思うんです」
(取材・文/菊地陽子)
※週刊朝日 2018年9月28日号