投手で即戦力として期待が大きいのが森田駿哉(Honda鈴鹿→巨人2位)と松本健吾(トヨタ自動車→ヤクルト2位)の2人だ。森田は富山商時代から評判の大型左腕だったが、法政大では故障もあって低迷。社会人でも入社当初はなかなか状態が上がらなかったが、一昨年からようやく力を発揮し、昨年はトヨタ自動車の補強選手として出場した都市対抗でも好投を見せて優勝に大きく貢献した。両サイドに140キロ台中盤のストレートをしっかりと投げ分け、スライダー、チェンジアップの対になる変化球も見事に操る。今年で早生まれの27歳というオールドルーキーだけに、1年目から勝負になりそうだ。
一方の松本も投手陣の層の厚いトヨタ自動車で存在感を見せた実力派の右腕。大学時代と比べてストレートの力強さがアップし、変化球がさらに生きるようになった。昨年は右肩の不調で出遅れ、まだ復調途上という印象だったが、それでも2位指名を受けているところに実力の高さがよく表れている。慢性的な投手不足に悩むヤクルトだけに、1年目からローテーション争いに加わることを期待したい。
下位指名でも即戦力になる選手も毎年存在しているが、チーム事情的にチャンスが多そうなのが沢柳亮太郎(ロキテクノ富山→ソフトバンク5位)と古田島成龍(日本通運→オリックス6位)の2人だ。
沢柳は明治学院大時代では首都大学リーグの二部に所属しており、社会人も新興チームのロキテクノ富山でプレーしていたが、チームの躍進とともに着実に力をつけて2022年には都市対抗にも出場。リリーフで1イニングのみの登板だったが、ストレートは最速149キロをマークし、初の大舞台でも落ち着いた投球を見せた。全身を大きく使ったフォームでボールの角度があり、落差のあるカーブも面白い。チームは実績のある投手が多く自由契約となり、甲斐野央も山川穂高のフリーエージェント移籍に伴う人的補償で西武に移籍しただけに、中継ぎ争いに加わる可能性は十分にありそうだ。