「『ジュリーがいた』の島崎さんには私からも資料提供させていただきました。過去の本も含め真摯にノンフィクション作品を手がけている方ですが、ジュリーはとにかく自分の把握できないところで何か言われるのが嫌なんでしょうね。それなら取材依頼に応えてくれたら良かったのに……と思うのですが難しいところです」

 たしかに沢田は芸能界、音楽界のみならず社会にも影響を与え時代の象徴となった人物。「沢田研二」を題材にした書籍は、ほかにも『沢田研二』(中川 右介/朝日新書)など何冊か刊行されている。本人の心情はともかく第三者が事実をもとに「論評するな」は通用しにくいのかもしれない。話すなと言われても、彼を語らずにはいられない。それもスターの宿命といえよう。

「チケットの高額転売について多少諦めモードなのも気になりました。大きくない事務所なので大変かもしれませんが、取り締まる法律も一応は整備されていると思うので、ぜひファンに平等にチケットが行き渡るよう取り組んでもらいたいです」(國府田さん)

 ファンを目の前にすると、ついつい正直な本音が出てしまう沢田。千秋楽、31日の東京国際フォーラムのMCでは果たしてどんな発言が飛び出すだろうか。ロックな反骨心あふれ、年齢を重ねてなお一人のシンガー、人間として最善を尽くそうともがく沢田の姿は、世知辛い現代を生きる我々にとって一つの道標と言える。今後も長くその勇姿を拝んでいたいものだ。

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