2013年6月に社長になると、最も力を入れたのは天神地区のさらなる活性化だ。ソラリアプロジェクトが完成した後、当時の社長から「ハードの街の核はできたが、楽しさなどソフト分野をいかに充実するかが課題だ」と宿題が出て、01年に構想を練る西鉄グループの課長らで天神委員会をつくり、事務局長や委員長を務めていた。
そしていま、「We Love 天神協議会」の名で10年後、20年後の地区の在り方を考える地元参加の組織を動かし、次の姿を築いていく「天神ビッグバン」が始まっている。
本社ビルを含め、古いビル30棟を建て替えて、震災・防災に強いオフィスビルや商業施設をつくり、「歩いて楽しい街・天神」の実現を目指す。2024年に終える目標が、コロナ禍で2年遅れるが、地下街を地下2階でネットワーク化し、地上は回遊ができるように、駐車場は少なくして歩きやすい街にする。
2021年4月に会長就任、同6月に九州経済界の先頭に立つ九州経済連合会(九経連)会長に就いた。「福岡は日本の福岡ではなく、アジアの福岡だ」が持論で、天神地区を福岡市の中核に描き、JR博多駅を中心とする博多地区、福岡空港、博多港と連携していく。無論、九州各県の経済界とも協調する。
これが、財界活動に時間を割く大きな理由だ。でも、周囲をぐいぐい引っ張っていこうという気配は、ない。何かあればいつでも相談に乗る、とのゆったりとした構え。故郷で『源流』となった「すぐそばにいて、待つ」からの流れが、続く。(ジャーナリスト・街風隆雄)
※AERA 2024年2月5日号