元朝日新聞記者 稲垣えみ子
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 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

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 新年が明けた。誠にめでたい。つづめて言えば「新年あけましておめでとう」となる。当たり前の慣用句。でも今年はなんだか心から「めでたい」と思う私である。

 理由は二つある。一つは、時代ですね。昨年は、世界が明らかに悪い方向に大きく舵を切ったと実感せざるを得ない年であった。大きな戦争を誰も止められぬまま次の戦争が起き、それも誰も止めることができていない。加えて世界的な異常すぎる気象。今年の夏が既に怖いのは私だけではなかろう。なのに、これも止められそうな気配もない。

 ついこの間まで「コロナさえ明ければ」などと本気で考えていたことがいかにウルトラ楽観主義だったか! コロナがどうなろうが我らは確実に自分たちで自分たちの首を絞め続けているのだ。物事とはえてして良い方向に変化するのはゆっくりだが、悪い方向に行き始めると一気である。人類はこのまま急坂を転がり落ちるように滅亡してもおかしくない。そう考えると、何はともあれ新年を迎えられたことに感謝すべきであるように思う。

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