上皇さまは12月23日、90歳の卒寿を迎えた。戦前の1933年(昭和8年)に長男として誕生し、戦時中は疎開生活も経験。19歳のときには英エリザベス女王の戴冠式に昭和天皇の名代として参列し、58年に美智子さまと結婚してからは65年の歳月を過ごした。背負ってきた重責を「平成」の終わりとともに下ろし、現在はおふたりで穏やかな生活を送っているという。
【写真】これほど美しいとは!若き日の上皇さまの視線の先には…
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「自分は、普通の結婚の幸せを保証してあげられない。皇太子という特別な立場にあって一番大事なのは公の義務であって私事はその次の問題である」
長野・軽井沢での「テニスコートの恋」から、世紀の結婚へ。世間では皇太子の明仁さま(上皇さま)がひたすら美智子さまを口説いた、という印象が強かった。しかし、「幸せを約束する」と口にすることはできなかった。
上皇さまは2018年12月、天皇として最後に迎えた85歳の誕生日会見で、国民への感謝とともに、美智子さまへの想いをこう口にした。
「振り返れば、私は成年皇族として人生の旅を歩み始めて程なく、現在の皇后と出会い、深い信頼の下、同伴を求め、爾来(じらい)この伴侶と共に、これまでの旅を続けてきました」
そして、「天皇としての旅を終えようとしている」と語った。
視線の先にはいつも美智子さまがいた
若いころの明仁さまは、あふれる愛情を言葉にはしなかったが、その視線の先にはいつも美智子さまがいた。
1960年のアジア・アフリカ4カ国訪問で、イランの古都イスファハンのイスラム寺院を訪れた。市民の歓迎に手を振って応える美智子さま。その奥には、美智子さまの姿をムービーで撮影する上皇さまの姿がある。