放送作家の鈴木おさむさん
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 鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、世界に誇れる日本のテレビコンテンツについて。

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 この一週間でとんでもなくおもしろいテレビ番組を二つ見ました。一つは「プロフェッショナル仕事の流儀」の宮崎駿監督編。以前も、宮崎監督に密着していましたが、今回は引退を撤回してからの「君たちはどう生きるか」と制作する数年間を追いかけていました。

 正直、映画館でこの映画を見た時に分からないことだらけで、ネットで考察読んで、分かったフリしていましたが、僕はなんも分かってはいなかった。いや、驚きました。

 共にジブリを立ち上げた高畑勲監督。2018年に亡くなった高畑監督への宮崎監督の思いを中心に編集していた。

 今までこの関係が深く語られたことはないと思う。宮崎監督の高畑監督への思いは、愛であり嫉妬でありリスペクトであり、時には憎しみさにも感じる。

 もう亡霊のように自分からはりついて取れない高畑監督と決着をつけるべく、その思いを作品に入れていく。

 82歳になられる宮崎監督は苦しみ苦しみぬいて作っていく。もう苦しむことなんかしなくていいのに、自らそこに突っ込んで作品を作る。

 見ていると宮崎監督の思いがうつってくるので、もう見てるこっちが苦しくなるくらいのドキュメンタリー。いや、もうこんなものを見せてくれるNHK。受信料ちゃんと払おうよ!と言って回りたくなります。苦しみぬいて映画を作っていく宮崎監督と「君たちはどう生きるか?」というタイトルが重なっていく。

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