安倍派の政治資金パーティー(2020年)

パーティー資金は若手議員の“餅代”に

 衆院議員を9期務め、郵政相、通産相などを歴任した深谷隆司・自民党東京都連最高顧問は自身の経験をこう語る。

「私は渡辺派、その後に山崎派の顧問をしていたので、年末になるとパーティー券を500枚くらい引き受け、それだけで1000万円をつくっていました。それを払い込んだ上に、別に1000万円くらいを派閥の事務局に顧問として出していました。これらが、若手議員の“代”になるんですね。それがどんな形で若手に渡されるかは知りません。お金の流れについては、私は全て収支報告書に記載していました」

 そして、現在の安倍派の事態をこう嘆いた。

「政治資金規正法に基づいて、きちんと記載すればよかったんです。安倍派にいくら入ったか、議員側にもいくら入れたか、両方で記載しておけば何の問題もなかった。それなのに、どこからナンボもらった、誰がナンボもらったというのは派閥の中でもいろいろあるので、内緒にしとけよということになったんだろうね。表に出ないようにするという無駄な配慮が墓穴を掘ることになったわけです」

 今回の裏金づくりはリクルート事件のような疑獄事件になるかもしれない、と指摘する識者もいる。13日に臨時国会が終わったが、東京地検特捜部はどこまで本腰を入れるのか。捜査のゆくえが注目される。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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