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基本性能そのままに使いやすく
無線LAN機能が追加


 GRがローパスフィルター・レスのAPS-Cセンサー搭載機になって約2年、新モデルのGR IIが発売される。IIとはいえ、レンズや撮像素子、画像処理エンジンなどはGRと同じで、画作りの根幹は基本的に踏襲している。
 目玉は、簡単接続のNFC対応でシリーズ初となる無線LAN機能の搭載だ。無線LANを使ったリモート撮影や画像閲覧や転送などは今時のデジタルカメラとしては当たり前の機能だが、GR IIでは基本的な撮影機能やメニューだけでなくファンクション設定に至るまで、ほぼ全ての操作をリモート可能だ。
 更に無線LANを使ってカメラ内RAW現像までもこなせる仕様になっている。つまり、タブレット端末を使えば大画面で効果を確認しながらRAW現像ができるわけで、小さな背面モニターを凝視しなければならない肩の凝る作業とオサラバできるのは実にありがたい。
 GRユーザーなら電源を入れた瞬間に気づくのがオートホワイトバランスのアルゴリズムの一新による精度向上。ライブビュー像の色調が妙にスッキリしてすがすがしく、「GRらしさ」ともいえた独特のトーンが薄れてしまったようでもあるが、初めてGRを手にするなら普通によく撮れそうな印象を受ける万人向けのチューニングになった感じだ。

追加された6種のエフェクトモードから、「HDR調」を選択。ワンショットでハイダイナミックレンジ風の画像に仕上がる。カラーだけでなくモノクロやセピア調にも変更可能で、彩度も好みに合わせて調整可能●絞り優先(絞りf4・640分の1秒・-0.7補正)・ISO
100・AWB・JPEG
追加された6種のエフェクトモードから、「HDR調」を選択。ワンショットでハイダイナミックレンジ風の画像に仕上がる。カラーだけでなくモノクロやセピア調にも変更可能で、彩度も好みに合わせて調整可能●絞り優先(絞りf4・640分の1秒・-0.7補正)・ISO 100・AWB・JPEG


新モデル(左)でも、前面GRロゴにはIIの文字は入らず、新旧外観はほぼ同じ。違いは無線LANが搭載されたために上部メインスイッチ周りが高くなっていることだ。GR IIでは側面のファンクションボタンは、標準で無線LANの起動が割り当てられている。外観デザイン上の変更もほとんどなく基本的にはマイナーチェンジの範疇だが、使ってみると別モノという印象を受ける部分も多い
新モデル(左)でも、前面GRロゴにはIIの文字は入らず、新旧外観はほぼ同じ。違いは無線LANが搭載されたために上部メインスイッチ周りが高くなっていることだ。GR IIでは側面のファンクションボタンは、標準で無線LANの起動が割り当てられている。外観デザイン上の変更もほとんどなく基本的にはマイナーチェンジの範疇だが、使ってみると別モノという印象を受ける部分も多い

 ホワイトバランスの種類に光源の色を誇張するCTEが追加され、また新たにエフェクトモードに追加された6種類の中には「雅(MIYABI)」もありペンタックスの文化を取り入れながら表現の幅を広げている。なお、このGR IIでは新たにストロボのワイヤレス発光機能が搭載されたが、その対応機種もペンタックスブランドのクリップオンストロボだ。

新規追加エフェクトの「光沢コントロール」。文字どおり光沢感を調整できる。基本的にコントラストや彩度の可変で輝度差が極端に広がらない調整をしているようだ。このほか「明瞭コントロール」「人物」「雅(MIYABI)」「鮮やか」「HDR調」が追加されている
新規追加エフェクトの「光沢コントロール」。文字どおり光沢感を調整できる。基本的にコントラストや彩度の可変で輝度差が極端に広がらない調整をしているようだ。このほか「明瞭コントロール」「人物」「雅(MIYABI)」「鮮やか」「HDR調」が追加されている


モバイル端末用GR専用アプリ。iOS仕様では操作ボタンが1画面に収まらず3ページ構成(右)。遠隔シャッターを切るだけのリモート機能ではなく撮影設定や機能など好みの状態をセットアップしておき、無線LANで接続したと同時にカメラに一括適用できる(中央)。カメラ内RAW現像をWi-Fiリモートでスマートフォンから作業できる(左)。この新しいスタイルは、他社も追随せざるを得ないはずだ
モバイル端末用GR専用アプリ。iOS仕様では操作ボタンが1画面に収まらず3ページ構成(右)。遠隔シャッターを切るだけのリモート機能ではなく撮影設定や機能など好みの状態をセットアップしておき、無線LANで接続したと同時にカメラに一括適用できる(中央)。カメラ内RAW現像をWi-Fiリモートでスマートフォンから作業できる(左)。この新しいスタイルは、他社も追随せざるを得ないはずだ

 撮影設定で銀塩GRの周辺光量落ちを再現するという往年のファン心をくすぐるような機能も加えられ、撮影機能面でも、内蔵NDフィルターのオン/オフもカメラが自動判断する「オート」が撮影設定画面から直接選択可能になった。
 バッファメモリーは容量が増え、RAW設定時の連続撮影枚数が従来の4枚から最大10枚へと大幅に向上された。慣れれば連写設定でも指の力加減で単写を切れるストロークがあるので、スナップ撮影などではより軽快な撮影フィーリングを楽しめるはずだ。

◆ 宇佐見 健


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●レンズ:18.3mm(35mm判換算28mm)F2.8。5群7枚(非球面レンズ2枚)。最短撮影距離:0.3m。マクロ時:0.1m●撮像素子:約1620万画素。23.7×15.7mm。CMOSセンサー●モニター:3.0型。約123万ドット●シャッター:1/4000~300秒●撮像感度:オート、ISO100~2万5600●内蔵ストロボ:オートポップアップ式。ガイドナンバー:5.4(ISO100)●連続撮影:最高約4コマ/秒●無線通信:IEEE802.11b/g/n、NFC●記録媒体:内蔵メモリー約54.0MB。SDメモリーカード(SDHC/SDXC、UHS-I対応)●大きさ・重さ:約117.0×62.8×34.7mm・約251g(バッテリーとメモリーカードを含む)、約221g(本体のみ)●価格:オープン(実売約10万円)