安田大サーカスのクロちゃんが、気になるトピックについて"真実"のみを語る連載「死ぬ前に話しておきたい恋の話」。今回のテーマは、「父」。実は、先日、クロちゃんはがんで父親を亡くしている。入院生活が続いていたことから覚悟はしていたというが、訃報を知った瞬間は、とてつもない悲しみにおそわれたという。「父親がいなかったら今のボクは絶対いない」、そう強く語るほど、父親には感謝の思いしかないと話す。クロちゃんが、闘病中の父親と交わした一生忘れられない言葉とは? クロちゃんが「父親の死」について、メディアで初めて明かした。
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父親が亡くなってから、すでに2週間以上がたった。
自分の中では、少しずつ気持ちの整理はできているつもりなんだけど、ふと父親のことを思い出すと、いまでも涙が止まらなくなる。父親が心配するだろうから、あんまり悲しんではいけないのだろうけど、平常心でいるには、もう少し時間はかかりそうだね。
父親の死は、妹からの電話で知った。
「お父さんは苦しまずに逝ったよ」
とてつもない悲しみと同時に「苦しまずに」という言葉で、少しほっとしたのを覚えている。妹は、お父さんっ子だったから、ボクに伝えるのは相当つらかったと思う。
父親は、長い期間、肺がんを患っていた。もう10年くらいになるかな。今年からは入院生活も始まっていた。
7カ月ほど前。普段、ボクにめったに電話なんかしてこない父親から着信があったから、少し嫌な予感はした。
「入院することになったよ」
父親の病状はもちろん把握していたし、どこかで覚悟はしていたものの、とうとう、こんな日がきたのかと、かなり落ち込んだ。「何も力になれなくてごめんね」、そんな風に、力なく答えるので精いっぱいだった。そして、息子として、何の親孝行もできてない自分がとても情けなくもなった。
そんなボクの気持ちを察したのか。その時に父親が言ってくれた言葉を、ボクは一生忘れない。
「お前は親孝行してないってよく周りから言われているけど十分してくれている。たくさんテレビに出て、みんなにクロちゃんクロちゃんって呼ばれて。そんな姿を見せてくれるなんて、普通の人にはできないぞ」
迷惑かけっぱなしだったボクは、その言葉で救われた気がした。