神戸さんはこう見る。

「東洋大は90年代から今に至るまで大学改革を進めており、ポジティブな話題が続いている一方で、日大は不祥事を重ねた結果が数字に出ていると思います。24年度のダブル合格にも影響が出るでしょう。日東駒専の中では日大ブランドは頭一つ抜けていましたから、この状況は日大にとって深刻でしょう」

 志願者が大きく減少すれば受験料収入が億単位で減り、大学経営にも影響が出る。国の補助金である「私学助成金」についても、日大は20年度は約90億円を受け取っていたが、21年度から3年連続で全額不交付となっている。日大は「不交付を理由とした学費の値上げはしない」としているが、教育環境への影響は出そうだ。

「日大は年間収入が2千億円を超えており、資産もあるのですぐに経営が傾くということはないでしょうが、ICT環境の整備や施設の改修など投資が遅れることにはなるでしょう。研究に必要な予算も減る可能性があります。早く立て直さないと大学の研究力にも影響が出てくると思います」(神戸さん)

 林理事長は「改革を成し遂げなくてはいけない」と自身の辞任を否定し、今後の取り組みへ意欲を見せた。文科省も省内に日大の改革をフォローする有識者会議を立ち上げるという。日大は生まれ変わることができるのか。

(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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