性能面をみると、「M716-PS」は7インチのディスプレーを採用している。OSはAndroidの4.2.2。現在主流の4.4よりも古いOSで、CPUはコアが2つしかない「Dual Core Cortex-A9」が使われている。内部容量は16GB。カメラは内側が30万画素、外側が200万画素だ。
一方「M1049S-PS」は10インチのディスプレー。OSはAndroid4.4で、CPUはコアが4つある「Cortex-A9 Quad Core」。いずれも現在主流のOSとCPUであり、スペックは古い機種とはいえない。内部容量とカメラの性能は「M716-PS」と同等である。
授業で使用するアプリは小・中学校で共通であり、OSやCPUが優れた中学校で使うタブレットには、「小学校ほどのトラブルは起こっていない」(前出の市の担当者)という。
ネット上では、なぜ、中国製のタブレット端末を採用したのかと批判の声が上がっている。「税金を投入しているのに、中国製の製品を購入して、その利益が国外に流れてしまうことに対してどう申し開きをするのか」という批判もある。確かに、国産のメーカーのタブレット端末を採用すれば、国内の企業が潤い、少なからず税金として還元される。ただ、そもそもの問題は、小学校向けのタブレット端末のスペックが低すぎる点だろう。作業内容は、小学校も中学校も大差がないのだから、小学校向けもちゃんとした性能の製品を与えるべきだろう。
武雄市は、この事業に対して、小学校だけでも約1億2000万円を投入している。このお金には、システムやサーバーの構築費が含まれている。タブレット端末一台のコストは約1万8000円で、3153台を導入している。端末の費用は約5675万円、全体の31.5%にしか満たない。安物買いの銭失いともいえるタブレット端末を購入するより、よりスペックの高い製品を導入すべきではなかったのか。
この件に関して、製造元の「恵安」に対して、どのように対応するのか、尋ねてみたが、「恐れ入りますが、ご質問にはお答えできません」とメールで回答があっただけだった。利益さえ出てしまえば、それでいいのだろうか。製造元がダンマリでは、あまりに無責任ではないのか。
(ライター・河嶌太郎)