被害者からは「賛否両論」
しばらくすると、東山氏がいつも乗っているという車が地下駐車場から出てきたが、ガラスが黒塗りになっていたため、姿を確認することはできなかった。
東山の新会社社長の就任辞退について、被害者はどう感じているのか。「ジャニーズ性加害問題当事者の会」(JSAVA)の平本淳也代表はこう話す。
「夢を諦め、タレントを辞め、命をかけて救済に努めると(言っていましたが)、新会社まで担うのは無理がありますし、到底、担えるものではありません。その安易な姿勢には当初より反対していました。(SMILE-UP.社長という)救済一本に絞った決心は妥当な判断だと思います」
東山の代わりに新社長への就任が浮上した福田氏については、
「福田氏は、芸能界の変革を訴えながらも、旧ジャニーズ事務所が立ち上げる新会社について『負の遺産を引き継がないで、日本のエンタメを牽引する』と発言しています。それを志して、実効性かつ透明性のある企業づくりに努めていただきたいと願います」(同)
一方で厳しい意見もある。
「当事者の会」を今月4日に退会した元「忍者」の志賀泰伸氏は、少年隊のバックで踊っていたという縁がある。志賀氏はこう批判した。
「記者会見で新会社の社長に就任すると表明したのに、(社長辞退について)東山氏自身からの会見や声明もなく、極秘で辞任をした。今までの会見では『命を削ってでも取り組む』と言っていたのに、あまりにも態度がコロコロ変わり、裏切られた気分です。世の中をなめきっていますよ」
日々刻々と状況が変わる、ジャニーズ性加害の補償問題。被害者たちに心の安寧が訪れる日はまだ遠そうだ。
(AERA dot.編集部・上田耕司)