近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師

アンチエイジングの領域で高い効果が期待されるピコレーザー。美容皮膚科で注目されているレーザー治療の一つです。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が、その効果や注意点について解説します。

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 ピコレーザー(Picosecond Laser)は、美容皮膚科で注目されているレーザー治療の一つで、特に色素沈着の改善に効果を発揮します。ピコレーザーは、ピコ秒単位の非常に短いパルスを肌に当てることで、シミやタトゥーの除去、肌の質感改善など、多岐にわたる皮膚のトラブルを解決することが可能です。この治療法は、アンチエイジングの領域でも高い効果が期待され、幅広い年齢層に受け入れられています。

※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 このレーザーの良いところは、肌の表面を傷つけることなく、レーザー光がターゲットとする色素に直接作用し、それを微細な粒子に分解することです。これにより、従来のレーザーよりも短時間かつ肌への負担を最小限に抑えつつ、色素沈着を効果的に薄くすることができます。また、ピコレーザーはコラーゲンの生成を促すことにより、肌のハリと弾力性の向上にも寄与すると考えられています。

 以前の記事で解説したIPL治療と比較して、ピコレーザーは特に色に関する問題解決に優れています。つまり、メラニンが濃く集中している部分に対しての治療効果が高いです。また、IPL治療では難しかった青色や緑色のタトゥーインクの除去も、ピコレーザーであれば可能です。

 ピコレーザー治療のもう一つの特長は、ダウンタイム(施術後に肌の赤みが続く時間)が非常に短いことです。治療後すぐに日常生活に戻ることができ、社会生活に影響を与えずに治療を受けることが可能です。しかしながら、ピコレーザーも万能ではなく、過度な使用や不適切な操作によっては肌へダメージを与える可能性があります。一般的には数週間から数カ月に1度の施術を推奨されることが多いです。値段は施設によって異なりますが、1回あたり2万円前後のことが多く、5~10回の施術を行います。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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ピコレーザーのリスクは?