秋元 康さん(右)と鈴木おさむさん(撮影/写真映像部・上田泰世)

 長年、日本のエンタメ界に生きてきた作詞家でプロデューサーの秋元康さんと、来年3月で放送作家をやめて「素人のおじさん」になると宣言した鈴木おさむさん。二人が見てきた世界やエンタメを巡る時代の行方などを語り合った。AERA 2023年11月20日号より。

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鈴木:どの時代のテレビが面白かったと思いますか?

秋元:やっぱり80~90年代だろうね。70年代は、アメリカのテレビ番組を模倣していた時代で、80年代から自分たちで作り始めたから。テレビ界の不良がたくさんいたけど、本当にテレビが好きな人が多かったし、面白かった。でも今は、就職活動の時に、半導体のグループ企業とか金融グループなども受けて、たまたまテレビ局に入ったきっちりした優等生が番組を作っている。インターネットで個人の声が反映されるようにもなり、20人が騒げば大騒ぎになる。そこに怯える時代になった。

鈴木:そうですね。ドラマは、Netflixなどいろいろな選択肢ができましたしね。ただ、バラエティーは今もテレビが一番のような気がします。芸人さんは地上波に出たいという人が多いですよ。

秋元:そうだね。だからこそ、ずっとテレビをやってきた人間からすると、やっぱり習慣でなくなってしまったのが、残念だな。昔は朝起きてテレビをつけ、帰宅してテレビつけて、だったけど今はつけないしね。

鈴木:そうですね。デビューするアイドルにも昔と今で変化はあるんですか?

秋元 康(あきもと・やすし、左):1958年、東京都生まれ。高校在学中に放送作家デビュー。「川の流れのように」など作詞。AKB48総合プロデューサー/鈴木おさむ(すずき・おさむ):1972年、千葉県生まれ。19歳で放送作家デビュー。フジテレビ系「SMAP×SMAP」などの構成を手がけた(撮影/写真映像部・上田泰世)

時代がそうなっていく

秋元:昔は大人たちがつくるアイドルだった。レコード会社が清純派路線などコンセプトを決めて無色な人に色をつけてたけど、今はその子が持っている色を最大限に生かすようになってきた。指原莉乃には「恋するフォーチュンクッキー」みたいな曲がいいな、とかね。

鈴木:なるほど。AKBは結成されてからブレイクするまで2~3年かかっていますよね。今話題の「新しい学校のリーダーズ」も結成から数年かかっている。これは作り手が頑張っているのか、時代がそうなっていくのか、どっちなんでしょうか。

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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