(写真はイメージ/GettyImages)
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 スマホで音楽や動画を視聴したり、リモート会議に参加したり、今やイヤホンは社会生活の必需品になっている。「『耳を酷使している』という自覚はないかもしれませんがイヤホンを長時間着けっぱなしにしている人は、耳を疲れさせています。早い段階で耳鳴りや難聴になる可能性が高いです」と話すのは、耳鼻咽喉科・木村至信(きむら・しのぶ)さん。木村さんの著書『1万人の耳の悩みを解決した医師が教える 耳鳴りと難聴のリセット法』(アスコム刊)から、イヤホンの耳疲れと予防法を紹介する。

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音で耳は疲弊する

 絶えず音の中で生活していると、耳は疲れます。大音量の音はもちろんですが、軽い音楽でもずっと聞いていれば疲れます。耳の疲れは「聞こえ方」に大きく影響します。

耳疲れがたまると、やがて耳鳴りや難聴になる可能性があります。

耳栓タイプのイヤホンで外耳炎に

 耳栓や耳の中に入れるイヤホンは、蒸れて外耳炎になることがあります。

イヤホンやヘッドホンは、長時間ずっと使うことは避けたほうがいいでしょう。

特に流行の「ワイヤレスイヤホン」や「ゲーミングイヤホン」は耳のかなり奥まで入るだけでなく、耳を密封して空気を通さないので、あまりよくないのです。

 どうしてもイヤホンが必要なら、耳に入れるゴムの部分が柔らかく、外耳道を傷つけないものを選んでください。ただし、ゴムアレルギーのある人は、素材を確認して使ってください。

また、音量を下げて使えるノイズキャンセリングイヤホンのほうが比較的、安心です。逆に、ハイレゾ対応イヤホンは避けてください。

イヤホンを使うときには、音の大きさに気をつけてください。何より、1回1時間以内と決めて、耳を休ませることが大切です。

 できればイヤホンではなく、ヘッドホンを使ってください。密閉性でないタイプが望ましいです。

耳を塞がない「骨伝導ヘッドホン」や「ネックスピーカー」もいいでしょう。大谷翔平選手のようにノイズキャンセリングのヘッドホンなら言うことはないでしょう。

また、電話なら固定電話であれスマホであれ、スピーカーでの通話(スピーカーホン)を使うほうが断然いいのです。

音の発信源が、鼓膜まくからなるべく離れているほうが、耳には優しいからです。

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イヤホンの耳疲れ予防法