「東京の場合、中心部の再開発エリアで高層・集約化した結果、その内側と外側の地域で格差が広がりつつあります。大手資本による再開発エリアを、人もにぎわいも吸い取られて空洞化した地域が取り囲む、そんな将来の東京の姿を予測するのもあながち的外れとは言えないでしょう」(横張教授)
再開発で高層ビルがあちこちに建ち、そこに似たような商業テナントが入ると、もともとの街の特色が失われていく面も否定できない。
「他にはない街の個性を作り上げ、その個性に引きつけられた人たちがそのエリアを選択的に訪れる、という流れをどうやって促すか。差別化を図る際に大事なのは、再開発のエリア内だけでなく、隣接する地域と共に街づくりに取り組み、街全体のブランド力や資産価値を上げる姿勢だと思います」(同)
再開発による活性化とともに、昔ながらの商店や長くその地域で暮らしてきた住民も活気を呈し、互いの個性を引き立て合うことが街の魅力を底上げしていくエネルギーになる、と横張教授は強調する。(編集部・渡辺豪)
※AERA 2023年11月13日号