東京では職住近接のコンパクトシティを掲げた再開発が進行中だが、東京大学の横張真教授(都市計画学)は、オフィステナントを核とする大規模再開発の限界を指摘する。街の魅力を底上げするのはどうすればいいのか。AERA 2023年11月13日号より。
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「ライフスタイルやワークスタイルの急速な変化の中で、大手資本によるオフィステナントを核とする大規模再開発のスタイルは自ずと限界が来ると思っています」
こう警鐘を鳴らすのは東京大学大学院工学系研究科の横張真教授(都市計画学)だ。
人口減少と超高齢化社会の進展に伴い、労働力の減少は必至だ。
さらに、テレワークなど多様な働き方が普及し、ワーク・ライフ・バランスを重視する若手世代が増える中、すべての社員が都心のオフィスに毎日出勤する、という従来のワークスタイルは変化していく。そうなると、中長期的にオフィス需要が減少するのは避けがたい。都心の大規模再開発エリアの外側の地域では、既にオフィスの空室がみられるという。
職住近接のコンパクトシティも東京のような大都市では実現しづらい、と横張教授は主張する。
再開発が行われる都心の高級マンションで暮らせる人はごく一部。大半が都心の圏外や郊外から通勤しているのが実情だからだ。