10月21日にロサンゼルス市内で5万人が参加したパレスチナ支援デモ。ヒジャブをかぶった女性たちや子どもの姿も(撮影/長野美穂)
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 ハマスの襲撃以降、米バイデン政権はイスラエル全面支持を表明してきたが、米国内ではイスラエル批判も強まっている。複雑な世論を現地から報告する。AERA2023年11月13日号より。

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「今、ガザで起きていることを考えると夜眠れなくて、デモに駆けつけた。ガザの民間人を爆撃で殺すのをやめてほしいと主張すると『テロリスト支持だ』とレッテルを貼られる。でも、いま沈黙していたら、絶対に後悔すると思ったから来た」

 そう語るのはカリフォルニア大学ロサンゼルス校の医学部の学生アリエル・ハートさん(32)だ。ガザ地区のインターネット回線がイスラエル側によって遮断された10月27日の翌日、ロサンゼルス(LA)のダウンタウンで行われた数千人規模のパレスチナ支援デモに参加した。

 黒人学生のハートさんは、ガザ住民がイスラエル軍から連日大量爆撃を受けている現状と、米国の黒人が警察から弾圧されてきた歴史に共通するのが「人種差別」だと断言する。

「うちの大学内にもシオニズムを提唱するユダヤ系の学生は実は多数いて、彼らの影響力は大きい。そんな中、パレスチナ支援を叫べば、就職に不利かもしれない。でも今、保身に走って将来自分が得するよりも、ガザ住民への爆撃を阻止するほうが圧倒的に大事だと判断した」

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