おかだ・なな/1997年11月7日生まれ。インタビューでは自身の性自認についても打ち明けた。撮影/写真映像部・東川哲也

アイドルに恋愛は「ご法度」なのか

——卒業とソロデビューの準備をしていたが、結果的に卒業は繰り上がった。

「恋愛禁止」をアイドルの不文律と捉えている人も多いのではないだろうか。熱愛報道は、多くのアイドルにとってスキャンダルだ。だが、彼らも一人の人間だ。5年、10年、20年と活動を重ねていくなかで、「恋愛は禁止」という状態は、果たして健全なのか。

 例えば、2013年、交際報道の出た元メンバーが丸刈りにして謝罪する動画は海外にも拡散され、国内外からさまざまな批判が起こった。岡田さんの場合、報道直後、SNSには、「死ね」「裏切り者」といった心ない言葉も飛び交い、大炎上となった。

岡田:落ち込みました。「死ね」「裏切り者」といったコメントが付けられたこともありました。私は精神的にはダメージを受けてごはんが食べられなくなり、体重も落ちて。つらい時期でした。

自分の自覚のなさ、アイドルとしての自覚のなさを謝りたいという気持ちと、「普通に恋愛しているだけなのにどうして」と思う気持ちと、両方がありましたね。

――岡田さんは、ツイッター(現X)上でファンへのお詫びのメッセージを出している。

「多大なるご迷惑をおかけしたこと 本当に申し訳ありませんでした」

「今まで応援してくださったファンの皆様を 裏切るような行動をとってしまい 傷つけてしまい 本当にごめんなさい。 幻滅させてしまいごめんなさい」

(2022年11月23日の投稿から)

岡田:スピーチを行った当時、私は自分をレズビアンだと思っていて、女性を好きになるという意味ではずっと恋愛していました。だから、ずっと前から私はファンの方を裏切っていたことになる。正直なところ、相手が男性だというだけでこんなにバッシングを受けないといけないのかな、なんでだろう、とも思いました。

恋愛の重みに性別は関係ない

——岡田さんは、今回のインタビューで、性自認が「ノンバイナリー」だと打ち明けた。自分で認識している性が、男性・女性という性別のどちらにもはっきりと当てはまらない、または当てはめたくない、という考えだ。好きになる対象は、男性と女性、どちらもあるという。

岡田:小さいころは男の子が好きだった時期もあって、バレンタインには男の子にチョコレートをあげたこともありました。それが変わってきたのは、グループに加入してから。2017年の総選挙のころはレズビアンでした。心の底から支えてくれる女性を好きになって、お付き合いしていました。そのころは、自分が男性に恋をすることがあるなんて、想像もしていませんでした。

 2017年のスピーチは、まるで自分は、男女のスキャンダルからは無縁であるかのような、安全圏内にいる意識から出てしまった言葉ではないかと今では思います。

 そして、それは大きな間違いでした。男女の恋愛も、女性同士の恋愛も、重みは同じはず。当時、19歳だった私は、いろんなことがわかっておらず、狭い世界の中で考えていたのだと反省しています。