米サンダンス映画祭で取材に答える菊地凛子(2014年)

主演映画で国際映画祭「3冠」を達成

 結婚後、帰国して2人の子どもを出産。子育てもあり「この10年くらいは仕事をしたいと思っても具体的に進むことが少なかった」(「文春オンライン」23年7月29日)と芸能界から少し遠ざかっていたようだ。

「30代になって中堅ゆえの“年齢の壁“にぶつかったり、ライフステージの変化もあってペースダウンしたりする中でも、19年には染谷が監督、菊地が脚本を務めたショートムービーを制作しています。お互いの仕事のタイミングを調整し合うなど協力して、仕事もプライベートも大事にする生活をしてきたとトーク番組で語っていました。夫婦としても、アーティストとしても、相性はバッチリのようです。さらに、最近は『子育てをしながら、妻として生きることも大事にしながら、女優としても頑張ろうと考えるようになった』とスポーツ紙のインタビューで語っています。子育ても一段落し、俳優として本格的に再始動が始まっています。今年は朝ドラのほか、初単独主演映画が国際映画祭で3冠を獲得し、話題には事欠きません」(同)

 芸能評論家の三杉武氏は、菊地についてこう述べる。

「『バベル』での演技で一躍脚光を浴びた菊地さんですが、その後も『パシフィック・リム』でヒロインを演じ、主演を務めた『トレジャーハンター・クミコ』でインディペンデント・スピリット賞の主演女優賞にノミネートされるなど、米映画界で存在感を放っています。クセの強い個性的な役を演じることが多い一方で、ナチュラルな笑顔からクールな表情まで表現力が豊かで、人間味あふれる演技も魅力です。近年は日本のドラマや邦画でも活躍しており、7月に公開され邦画としては初の単独主演作となった『658km、陽子の旅』では、疎遠になっていた父親の死の知らせをキッカケに東京から故郷の青森・弘前までヒッチハイクで旅をする42歳のフリーター女性を好演しました。これから、さらなる活躍が期待できそうです」

 本格復帰した“アウトサイダー女優”が今後、どんな演技を見せてくれるのか、楽しみだ。

(雛里美和)

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雛里美和

雛里美和

ライター。新宿・十二社生まれの氷河期世代。語学系出版社から邦ロックシーンを牽引するライブエージェント(イベンター)を経て、独立。教育からエンタメまで幅広い分野で活動する。

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